オフィスに着くと木下次長はすぐにパソコンを立ち上げることは無く、掃除用具を取り出して掃除を始めた。
「木下次長?何をしているんですか?」
「掃除だが?」
「いつもしているんですか?」
「ああ、簡単にだけどな。掃除業者が入っているからサッとモップがけと机の上を拭くだけだが毎朝やっている」
「そうなんですね。じゃあ私は机の上を拭きます」
「皆川まで掃除をする必要は無いんだぞ」
「いえ、お手伝いさせて下さい」
「そうか、ありがとう」
私は机の上を拭きながら、木下次長を見つめた。木下次長は掃除のため、スーツのジャケットを脱ぎ白いシャツを腕まくりしている。その腕は私とは比べものにならないくらい太くて、がっしりとしていた。
うわーっ、格好いい。
この人は何をやっていても格好いい。
何か運動でもしていたのかな?
そんな事を考えながら机の上を拭いていると、私の視線に気づいた木下次長と視線が交わった。
「ん?何だ?」
「あの……えっと……木下次長って何かスポーツとかしていたのかなって」
「ああ、俺は空手を小さい頃からやっていた。今も時間があると道場に通っている」
「そうなんですね。だから腕とかたくましいんですね」
「そうか?」


