木下次長はそう言って、私の言葉を制した。どうして?と、思っていると、木下次長は赤くなった顔を隠すように大きな右手で、顔を覆っていた。右手で隠しきれない頬が、赤くなっているのが見える。
「それは先日聞いた。お前の気持ちは分ったつもりだ。だから、その……大丈夫だ。」
どうやら木下次長は先日の木下次長への思いを込めた言葉を思い出した様だ。
それならあの約束も覚えているはずだ。
「次長はあの時の約束を覚えていますか?私を一週間だけ彼女にする約束です!」
「「…………」」
オフィスに沈黙が流れる。
そしてその沈黙を破ったのは木下次長だった。
「そうだな。一週間だけ付き合うと言ったのは俺だ。悪かった」
ふっと息を漏らしながら、木下次長が微笑んだ。木下次長はその表情のまま私の頭に大きな手をのせた。
「あと五分だけ待ってくれるか?一緒に帰ろう」
「はい」
私は自分のデスクに戻り、買ってきたカフェラテに口を付けながら木下次長を見つめる。いつもなら盗み見るその姿を今はガッツリと見ることが出来る至福の時。
最高の時間だ。


