午後2時すぎ、
中富良野町のラベンダー畑に到着。

今年のラベンダーのじゅうたんには、
あちこちに土色が混じっていた。

8月に入ると少しずつ収穫されていくので、
満開とはいかなかった。

平地のマリーゴールド畑を通って、
斜面のラベンダー畑の中を一歩一歩進んだ。

逢月姫
「ハァ…ハァ…もう少しで頂上…!」

『逢月姫、大丈夫?』

逢月姫
「大丈夫…!上からの景色…一緒に見たいの!」

私は彼と松葉杖に支えられながら
畑の斜面を登った。

ラベンダー畑の頂上へたどり着き、
ふもとを振り返ると、

逢月姫
「うわぁ………………!」

足元に紫のじゅうたん。
その中に佇む1本の大木。

その奥に広大な田畑。
すべてを包み込む青空。

私も彼も、感動のあまり言葉を失った。

ぎゅっ

逢月姫
(もう少し…このままでいさせて…?)



私は心だけでそうつぶやきながら、
彼の腕にしがみついた。

彼の優しさとラベンダーの香りに包まれ、
幸せな時間を過ごした。

この時の私は、
そんな幸せがずっと続くと思っていた…。