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はぁーー。
なんか気まずいなぁ、龍弥の部屋に入るの。。
でも、お母さんにコーヒー持っていくように言われたしなぁ。

時間は23時過ぎ。
意を決してノックをする。


「はい」


ガチャッ
「龍弥、コーヒー持ってきたよ」
「わっ!バカ、待てって…!」

わたしは龍弥の制止も虚しくドアを開けてしまった。



「わぁ!!」

そこには上半身裸の龍弥が!

一瞬目を伏せたけど、あれ?っと思って見直したらお腹に湿布を貼っている。


「えっ…どうしたの?怪我!?」

「あ、あぁ。こけちゃって」


そんなところ打つ?

コーヒーを机に置いて龍弥に近づく。


「ほんとに?大丈夫!?」

湿布からはみ出して青アザが見える。


「大したことないから」

なんだろう、この胸が騒つく感じ。


「でもー…「詩」


龍弥に呼ばれて顔を上げた。




俺を見上げる詩。
上目遣いヤバイって。


「今、二人きりってわかってる?」

パッチリ二重の大きな目をさらに見開いてハッとしたような表情をした詩。


「じゃ、行くね!」


ダメだ、このままじゃ!

部屋を出ようとした詩の腕を掴んだ。


「昨日は…ごめん」


詩、、、俺の気持ち
少しでも伝わってくれ


「でも、やっぱ撤回はしない」

「…なんで!?あんなヒドイこと言うなんて、、龍弥最低だよ」


ドクンッ

わかってる。
詩がアイツのことをすげー好きなこと。

だから余計なんだ。


あんな危険な奴に関わっちゃダメだ。


〈最低だよ〉

今の詩の言葉が頭の中をぐるぐる回る。



「…ごめん、わたし行くね」

振り解こうとする腕をさらに強く掴んだ。

「龍弥、離して!」

「嫌だ」

「もう…!お願いだからー…っきゃっっ」


気づけば抱き寄せて、詩を抱きしめていた。


「ねぇ詩…俺、なんでもするよ?どんな奴にでもなる」


だからお願い


「俺を…見てよ」

好きなんだ


「詩、大好きだから」


抱きしめている詩の身体が小刻みに震える。


泣いてる、、のか…?


詩は顔をうつ伏せて首を横に振り続ける。



「…詩、中学の頃とか覚えてる?」

「え…?」


突然の俺の問いに顔を上げた詩。

やっぱり泣いてる。

涙を指で拭うと、また顔を伏せた。



俺はズルイのか?

ズルイ…
いや、そんなの関係ない。


「ねぇ詩、中学の頃小学生の男の子助けたりしなかった?」


「え…??」


少しずつ詩の記憶を開く。


ズルイ奴にだって
卑怯な奴にだって
なんだってなってやる。


きょとんとした顔で俺を見る。


「…隙、見せちゃダメだって」


がぷっ

詩の首筋に軽く噛みついた。


「ひゃっ!!龍弥、やめ…!」


顔を離すと、右の首筋に赤い跡。


「アイツに見つかったらどうなるんだろうな?」


バチンッ!!

次の瞬間、思いっきりビンタをされた。



「龍弥のバカ…!!大っ嫌い!!」

そう言って部屋を出て行った詩。



泣いてたな…


俺は壁にもたれかかりながらその場に座り込んだ。



好きな子泣かせて
何がしたいんだよ



〈最低だよ〉



詩、ごめん

泣かせてしまっても
嫌われてでも
俺のことが頭から離れないようにしたいんだ


あんな奴より俺のことでいっぱいになれ


俺しか見れないようになってよ。