思ったの。
「わたしね、昔すごい運動音痴でね、走るのとか遅過ぎたの!まぁ今もだけどね」
「そうなんですか?」
「うん。それでねちょっとクラスメイトに無視されたりとかもあって…そんな時に助けてくれたのが龍弥だったの」
龍弥と出会ったいきさつを話した。
知りたいばっかりはダメって気づいた。
まずは【わたし】を見てもらわなきゃ。
知ってもらわなきゃ。
「…だから、龍弥はわたしの恩人?かな」
「そうだったんですね」
ダメ…かな?
伝わらないかな?
「話してくれてありがとうございます」
ニコッと笑ってくれた。
納得してくれたのか
少しでも伝わったのか
わからないけどわたしから踏み込んで行かなきゃ・・・
「ぼく、親いないんですよね」
いきなり確信的な言葉が聞こえてきた。
「まぁ正確に言うと親に捨てられたってことです」
そう言った想汰くんは笑ってた。
ううん、笑ってるフリって言えばいいのかな?
空笑い
違うな、当てはまらない
心では絶対泣いてるのに
なんで笑うの
「えっと…いつから……?」
聞いていいのかわからない。
だけど、聞かずにいれない。
「小学生の頃から喧嘩ばっかしてたクソ親だけど、小6なった頃に完全に離婚しましたね。母親は出て行って父親にも捨てられました」
そんな…
「なんで先輩が泣くの」
開けたかった想汰くんの心のドアはきっと何重にもなっていて
その一つ目をやっと開けることが出来たのに
…無理矢理開けさせてしまったんだ
「先輩、ぼく寂しくないんですよ?だって今こうして先輩といる」
わたしの涙を手で拭う想汰くん。
「先輩に出会うことが出来たから」
ヴーッヴーッ
話を切るようにスマホのバイブ音が部屋に響く。
そして鳴り止まない。
「先輩のスマホですよ」
「あっごめんね!」
急いでスマホを見るとディスプレイには龍弥の名前が。
「出ないんですか?」
躊躇している間に着信は止まった。
時間を見るともう深夜2時前。
「切れたしいいや」
「…送ります」
立ち上がった想汰くんの袖を無意識に引っ張ってしまった。
「先輩?」
「あっ…ごめん」
わたしと目を合わせる為かしゃがんでくれた。
「遅くまでごめんなさい。家、帰りましょ?」
離れたくない…けど、ワガママ言っちゃいけない。
「うん」
家の前まで送ってくれて、また明日ねってバイバイした。
想汰くんの過去がほんの少し見えた。
それはわたしが想像していたより遥かに悲しくて辛いことだった。
ガチャッ
「詩っ!」
家のドアを開けると龍弥が玄関まで走ってやってきた。
そしてその後にお母さんとお父さん。
お母さんたちに連絡してなかったし、絶対怒られる。
「おかえり。お風呂入りなさいね?」
優しく笑うお母さん。
「あの、連絡しなくて…ごめんなさい」
「狩谷くんがちゃんと連絡をくれた。でも、おまえはもう大人なんだからこれからは自分で連絡するように。心配かけるな」
想汰くん、お父さんに連絡してくれてたんだ。
今までお母さんたちに連絡せずこんな遅く帰ったことなかったから、絶対怒られると思ってたのに。
ひそっ
「お父さん、狩谷くんのことすごく気に入ってるみたいよ」
そう言ってお母さんはニコッと笑い部屋に向かった。
玄関には龍弥とふたりきり。
「詩、今日のことでちょっと話がー…ってえ!?」
わたしは泣いてしまってた。
自分でも気づかない内に。
「詩!!なんかあったのか!?アイツか!?」
違う。
わたしは首を横に振る。
「じゃあ…やっぱ俺か!?」
また首を横に振る。
お母さん、お父さん…それに今は龍弥もいる。
こうして両親が心配してくれて、待ってくれていて
この当たり前が【当たり前】じゃないんだ。
「ううん、なんでもないよ」
想汰くん、わたしが出来ることはなんですか?
「詩、今日はほんとにごめん。情けないとこ見せたし迷惑かけたし」
龍弥、気にして起きて待っててくれたのかな?
「全然大丈夫だよ。待たせてしまってたならごめんね」
「なんで詩が謝んだよ」
ダメだ、今は想汰くんのことしか考えられない。
「龍弥、ほんと気にしないでね。待たせちゃったのにごめん。先に部屋行くね、おやすみ」
「…あぁ。おやすみ」
なんだよ…
アイツのことばっかかよ
やっと会うことが出来たのにー・・・
「わたしね、昔すごい運動音痴でね、走るのとか遅過ぎたの!まぁ今もだけどね」
「そうなんですか?」
「うん。それでねちょっとクラスメイトに無視されたりとかもあって…そんな時に助けてくれたのが龍弥だったの」
龍弥と出会ったいきさつを話した。
知りたいばっかりはダメって気づいた。
まずは【わたし】を見てもらわなきゃ。
知ってもらわなきゃ。
「…だから、龍弥はわたしの恩人?かな」
「そうだったんですね」
ダメ…かな?
伝わらないかな?
「話してくれてありがとうございます」
ニコッと笑ってくれた。
納得してくれたのか
少しでも伝わったのか
わからないけどわたしから踏み込んで行かなきゃ・・・
「ぼく、親いないんですよね」
いきなり確信的な言葉が聞こえてきた。
「まぁ正確に言うと親に捨てられたってことです」
そう言った想汰くんは笑ってた。
ううん、笑ってるフリって言えばいいのかな?
空笑い
違うな、当てはまらない
心では絶対泣いてるのに
なんで笑うの
「えっと…いつから……?」
聞いていいのかわからない。
だけど、聞かずにいれない。
「小学生の頃から喧嘩ばっかしてたクソ親だけど、小6なった頃に完全に離婚しましたね。母親は出て行って父親にも捨てられました」
そんな…
「なんで先輩が泣くの」
開けたかった想汰くんの心のドアはきっと何重にもなっていて
その一つ目をやっと開けることが出来たのに
…無理矢理開けさせてしまったんだ
「先輩、ぼく寂しくないんですよ?だって今こうして先輩といる」
わたしの涙を手で拭う想汰くん。
「先輩に出会うことが出来たから」
ヴーッヴーッ
話を切るようにスマホのバイブ音が部屋に響く。
そして鳴り止まない。
「先輩のスマホですよ」
「あっごめんね!」
急いでスマホを見るとディスプレイには龍弥の名前が。
「出ないんですか?」
躊躇している間に着信は止まった。
時間を見るともう深夜2時前。
「切れたしいいや」
「…送ります」
立ち上がった想汰くんの袖を無意識に引っ張ってしまった。
「先輩?」
「あっ…ごめん」
わたしと目を合わせる為かしゃがんでくれた。
「遅くまでごめんなさい。家、帰りましょ?」
離れたくない…けど、ワガママ言っちゃいけない。
「うん」
家の前まで送ってくれて、また明日ねってバイバイした。
想汰くんの過去がほんの少し見えた。
それはわたしが想像していたより遥かに悲しくて辛いことだった。
ガチャッ
「詩っ!」
家のドアを開けると龍弥が玄関まで走ってやってきた。
そしてその後にお母さんとお父さん。
お母さんたちに連絡してなかったし、絶対怒られる。
「おかえり。お風呂入りなさいね?」
優しく笑うお母さん。
「あの、連絡しなくて…ごめんなさい」
「狩谷くんがちゃんと連絡をくれた。でも、おまえはもう大人なんだからこれからは自分で連絡するように。心配かけるな」
想汰くん、お父さんに連絡してくれてたんだ。
今までお母さんたちに連絡せずこんな遅く帰ったことなかったから、絶対怒られると思ってたのに。
ひそっ
「お父さん、狩谷くんのことすごく気に入ってるみたいよ」
そう言ってお母さんはニコッと笑い部屋に向かった。
玄関には龍弥とふたりきり。
「詩、今日のことでちょっと話がー…ってえ!?」
わたしは泣いてしまってた。
自分でも気づかない内に。
「詩!!なんかあったのか!?アイツか!?」
違う。
わたしは首を横に振る。
「じゃあ…やっぱ俺か!?」
また首を横に振る。
お母さん、お父さん…それに今は龍弥もいる。
こうして両親が心配してくれて、待ってくれていて
この当たり前が【当たり前】じゃないんだ。
「ううん、なんでもないよ」
想汰くん、わたしが出来ることはなんですか?
「詩、今日はほんとにごめん。情けないとこ見せたし迷惑かけたし」
龍弥、気にして起きて待っててくれたのかな?
「全然大丈夫だよ。待たせてしまってたならごめんね」
「なんで詩が謝んだよ」
ダメだ、今は想汰くんのことしか考えられない。
「龍弥、ほんと気にしないでね。待たせちゃったのにごめん。先に部屋行くね、おやすみ」
「…あぁ。おやすみ」
なんだよ…
アイツのことばっかかよ
やっと会うことが出来たのにー・・・



