コンビニに寄って弁当とか見ても、なんか食欲がわかない。
あ、、、
目に止まったのは新商品と書かれたポップが飾られているレモンティー。
そしてふと思い出す高校生の頃の詩先輩。
よくレモンティー飲んでたな。
「ふ……」
ペットボトルのレモンティーを手に取って漏れた笑い声。
ぼく、本当にキモイな。
昔からどんだけキモイことしてんだよ。
それでも好きなんだ。
どうしようもなく。
結局買ってしまったレモンティー。
あれから先輩とは連絡を取ってない。
先輩からも来ない。
〈龍弥はわたしを変えてくれた人なの〉
頭の中にずっとリピートされる先輩の言葉。
やっぱり排除しないと。
〈あんたなんか荷物になるから!いらないの!〉
そう。
排除しないと、ぼくが排除されることになる。
ハッと我にかえると、詩先輩の家の前まで来ていた。
2階の先輩の部屋の窓を見ると電気は点いていない。
23時過ぎてるしな、もう寝たかな。。
ガチャ
家のドアを開けると暗いはずの部屋が明るい。
え?電気つけっぱだったか
だけど、そんな考えは一瞬でなくなった。
「おかえりなさい。バイトお疲れ様」
「なんで…」
目の前には大好きな人が。
「そ、想汰くんが合鍵くれたんだよ‼︎いつでも来ていいって言ったんだよ!」
「…はい、言いました」
「だから、えっと…夜ご飯の買い物してそれで…」
今日のことを気にしてくれたのか
照れてるのか
ぼくに会いたかったのか
ぎゅっ
「想汰くん!?」
どうか全部正解でありますように。
そう願いながら先輩を強く抱きしめた。
「あ、あのね今日わたし…」
先輩の言葉を遮るようにキスをした。
少しして唇を離すと苦しそうに先輩が息を吸う。
「想汰くんここ玄関だし…それに夜ご飯作ったから一緒に食べよ?」
帰ってきたら先輩がいるとか
しかも夜ご飯作ってくれてるとか
幸せ過ぎる。
だけど
「んっー…」
またキスをする。
ごめんね、先輩。
もう我慢出来ない。
「ねぇ…先に先輩が食べたい」
ぼくの言葉に顔を真っ赤にする先輩。
かわいい
かわいい
かわいい
今すぐ写真撮りたい
必死に頭の中に画像として残そうと試みる。
「いい?」
かわいい先輩
小さく頷く姿も可愛くて、大切にしたいのに出来ないかもしれない自分がいる。
「あ、お風呂っー…」
「そんなんいい」
詩先輩を抱き上げてベッドに運ぶ。
「わたし汗臭いし…」
首筋をキスする
「全然。先輩の匂いは全部好きだから」
詩先輩の全てが好きだよ
「ぼくのものになって」
ーーーーーーーーー
わ…わぁー。。。
とうとう…想汰くんとエッチ…したんだ。
隣で可愛い顔で眠る想汰くんの髪を撫でる。
すごく悩んだけど…
あんなままでギクシャクしたくなかったし
ちゃんと伝えたいことを伝えたかったし
でも、なにより
想汰くんに会いたかった。
嫌がられるかもだけど、、勇気出して合鍵(これ)使ってよかった…よね。
ぽふっ
さっきのことを思い出してひとりで照れてしまい、布団に顔を埋める。
布団…想汰くんの匂いがする。
匂い、、か
今日ここに来てから微かに匂うこの香り
わたしやっぱり知ってる。
たしか・・・
「先輩…?」
ドキーッ!!
寝起きもこんな可愛いなんて!!
反則だよ、想汰くん!!
「すみません、ぼく寝ちゃってた」
「ううん。ゆっくりしてね」
グイッ
「ひゃっ」
腕を引っ張られて身体がベッドに倒れた。
「やだ。先輩といるのに」
優しい言葉とキスをくれる。
「身体…しんどくないですか?」
「うん。大丈夫だよ」
見上げて見る想汰くんにまたドキドキが増す。
〈ぼくはいらないものだから〉
あの言葉を思い出す。
想汰くんの頬に手を添える。
「先輩?」
「“いらないもの”だなんてもう言わないで。想汰くんはわたしにとって1番大切な人だから」
生半可な言葉は通じないってわかってる。
「…ほんとに?ぼくがなにより1番?」
ほら
目に少し暗さが増す。
まるで飲み込まれそうになるような闇。
なにがこんなにも想汰くんを追い詰めるんだろう。
「うん、なによりも」
「嘘…ついたら許せない…かもしれない」
わかってる。
「わたしを信じて」
こわくなるような言葉は
あなたがきっと今までこわくなってきたからなんだよね?
まだ奥まで見えないあなたにどこまで安心してもらえるか
「好き。先輩、ずっと大好き」
・
・
・
「うまっ!」
「よかったぁ」
わたしが作ったオムライスを子どもみたいに笑いながら食べる想汰くん。
あなたにわたしの【すき】が1つでも多く伝わりますように。
「お昼はごめんね。龍弥のことは、幼なじみとして大切ってことだから」
「うん。ぼくもごめんね」



