「おはよー!」
「おはようございます。あれ?先輩、今日1限からでしたっけ?」
ううん、違うよ。
3限からだけど
「想汰くんに会いたかったから。一緒に大学行こ?」
手を繋ぐ。
すると、ふわっといい匂いがした。
「あれ…この匂い……」
「え?」
ん!!??
「どうしたの!?このケガ!!」
繋いだ手を見ると、人差し指が包帯で巻かれていた。
「昨日こんなケガなかったよね!?」
「あー…、帰ってからグラス割っちゃって。思ったより深く切ってたので軽く包帯巻いただけなんです」
あれから?
ウチにいたらこんなことには…
「大したことないんで。大丈夫ですよ」
ちょっとしたことでも心配になる。
「詩ー!!」
後ろから全力で走ってくる龍弥。
「彼氏くんもどーも」
「…はい」
相変わらず空気が悪いなぁ。。
「龍弥、今日早いんだね」
「教授に提出する資料をまとめねーとヤバくて。じゃーな」
こっちの大学に来てからの龍弥は毎日忙しそうで、目標に向かって頑張っててすごいなぁと尊敬する日々。
「……先輩、ぼくらも行きましょ」
「うん」
ーーーーーーーーー
「ねぇ、龍弥って人知らない?戸倉龍弥」
「いや、知らないです」
・
・
お昼休み後の授業で、亜紀が走って教室までやってきた。
「亜紀遅いよ。ギリギリじゃん」
「そんなことより!龍弥って子!詩の幼なじみの!」
??
「龍弥?…が、どうしたの?」
「そ 女子が3人来てて、学校中で龍弥を探してるって言い回ってるみたいで」
え!?
龍弥の知り合いとかかな!?
龍弥に教えてあげなきゃと思いスマホを取り出すとチャイムが鳴り、先生がやってきてしまった。
授業中、龍弥にメッセージを送ったけど既読にならない。
わざわざここに来るなんて、なにか急ぎの用事かもだし。
大丈夫かな!?
授業が終わり次の移動を亜紀としていると、廊下の向こうで少し人だかりが出来ていた。
女性の声が聞こえる。
「あんた、ほんとに最低!!なんの連絡もなく姿消すとか!」
「ていうかさ!何股してたわけ?なめてんの?」
なんかものすごい言葉が色々聞こえてくる。
「あ!あれ龍弥じゃない!?」
亜紀の指を指した方を見ると、人だかりの隙間から龍弥が見えた。
人をかき分けていくと、女性が3人と龍弥が人だかりの中心にいた。
「あのさ…まず場所変えない?」
「は?あんたが意見すんの!?連絡もブチッてたくせに!」
とにかくすごく目立ってる。
女性たちはすごく怒ってるし、、龍弥なにした!?
「えっ!?詩…ちょっと!」
頭で考えるより先に、亜紀の制止も無視して体が動いていた。
「は?あんた誰?」
「あの…!ここは目立つのでひとまず場所変えませんか!?」
「詩…」
気づけば龍弥の前に立っていた。
「あんた、もしかしてコイツの新しい女とか?」
はい?
「やめときなよ。こんないい加減な男」
「とりあえずコイツに大事な用があんの。どいてくんない?」
そう言ったひとりの女の子がわたしの腕を掴んで力強く引っ張った。
「わっ!」
ヤバッ…倒れちゃう!
引っ張る力が強くてバランスを崩し倒れそうになった。
「なにやってんですか」
そんなわたしの体を支えてくれたのは想汰くんだった。
「よくわかんねぇけど…うるさいから先生たちも来てますよ?」
人だかりをかき分けて、先生たちが何人かやってきた。
「龍弥さん、詩先輩を巻き込むのはやめてください」
「あ!違うの、わたしが勝手にー…」
「こんなクズみたいな奴、かばうんですか?」
そう言った想汰くんの目がなんだかすごく冷たく感じる。
別人かと思うほどに。
「なん…で、そんな言い方…」
グイッ
想汰くんに腕を引っ張られてその場を後にする。
「りゅう…」
なにがあったかわからないけど、龍弥を助けられなかった。



