先輩はぼくのもの

長い時間並んだり、乗り物乗ったり、パレードを見たり…
全てが楽しくて新鮮だった。
それはきっと想汰くんのおかげ。

想汰くんとだから、全部楽しい時間に変わるんだろうなって思う。
絶対そう。



「先輩、楽しめましたか?」

「うん!最高だったよ!ありがとう!!」

時間が経つのはほんとに早くて、あっという間に閉園時間。



「あ…」

「どうしました?」


テーマパーク内のフォトスポット。
人気な場所だから並んでてさっきは一度諦めたけど、、やっぱり一緒にここで撮りたい。


「えっと…」

まだ何人か並んでるし、、写真撮るために並ぶって想汰くんどうかな?
嫌じゃないかな?


「ん?先輩、思ってること教えてください」

優しくそう言ってくれたからか、迷いよりも先に口が開いた。


「ここで…写真撮りたいの。…いい?」


くしゃっ

すると想汰くんがわたしの頭を撫でた。


「もちろんです。ぼくも撮りたかったし」

ほんとかうそか、わからない。
わたしに合わせてくれた可能性の方が高い。
でも、こうして優しい想汰くんにまた好きの気持ちが積み重なっていく。



しばらく並んでやっとわたしたちの番。
憧れてたフォトスポットをバックに一緒に写真が撮れて嬉し過ぎる。


スマホを見てニヤけてしまう。

「いつまでニヤけてんの」

「だって一緒に撮れたの嬉し過ぎて」

「はは!先輩、可愛過ぎるから」


そんな会話をしながら出口のゲートを出た。



テーマパークの方に振り返る。

楽し過ぎた時間、あっという間に終わっちゃった。
なんだか名残惜しい。

じーっとテーマパークを見ていると


「先輩、左手出して」

「え?あぁ、左手?」

急で意味がわからず左手を出す。


すると、わたしの左手に手を添えた想汰くん。
そして薬指になにかをはめていく。




「えっと…これって、、、」

目の前の出来事に思考が追いつかない。




「改めてお誕生日おめでとうございます。これからもずっとぼくのそばにいてくださいね?」

左手の薬指を見ながらわたしは何度も頷く。
感動で言葉が出てこない。



「約束ですよ?絶対離しませんから」

そう言って想汰くんも左手を開いてわたしに見せた。


「ペアリングです。先輩はぼくのもの、ぼくは先輩のものって印だね」


冷静に聞けば結構な重い発言なんだろう。
でもそんな言葉にも嬉しさが遥かに大きくて大好きな気持ちが止まらない。



ぎゅうっ

「一生大切にするね!!ずっと…ずっと一緒だよ!!」

「うん。約束ですよ」


このまま時間が止まればいいのに。



「ヤバッ。予約の時間まであと少しだからちょっと急げます?」

「へ?」

なんとも間抜けな声を出したわたし。



「走ろ」

そう言ってわたしの手を握って走り出した想汰くん。


うわ・・・なんだろ、この気持ち。
この走ってる時間すら愛しくて胸がぎゅーっとなる。



「想汰くん!どこに行くの!?」

「秘密♪」

この笑顔がずーっとわたしを見てくれますように。
そんな厚かましい願いをせずにはいられない。




「着いた」

あれからテーマパークの最寄り駅までダッシュして、電車を少し乗り継いでたどり着いたのは高層ビルの30階にあるオシャレなレストラン。


「想汰くん、ここって…?」

??が頭に浮かぶわたしの手を引きながらレストランの中に入る想汰くん。


「狩谷様。お待ちしておりました」


店員さんに案内されたのは窓側の席。


「わぁ。。綺麗…」

30階だから夜景が綺麗過ぎてテンションが上がる。


「よかった、嬉しそうで」

頬杖をついてこっちを見る想汰くんの表情にまたドキッとする。
そんなかっこよく、優しく笑うなんてズルイ。


「想汰くん、ここは…?」

「バースデーディナーって感じかな?」


え!!

「あそこのテーマパークに連れてってもらったよ!?」

「うん。あれはあれ。これはこれ♪」

「わたし、してもらってばかり…」


ガタッと椅子を動かす音がしたかと思ったら、想汰くんが向かいに座るわたしの方に身を乗り出してきた。


むにっ

そして頬をつねられた。


「ぼくがしたいんです。大好きな彼女をお祝いしたいって…当たり前でしょ?ほんとはもっと色々したいんですから」

つねられた頬が熱い。
想汰くんの体温、そして言葉にドキドキする。


しばらくしてドリンクと前菜が運ばれてきた。


「いただきます」

一口食べるととっても美味しくて、ほっぺが落ちそうとはこのことだ。


「ぶはっ!先輩、顔ゆるゆるですよ」

「え!なにそれ!」

急に恥ずかしくなってきた。


「かわいい」


あーもう。この人はこんな時でもこんなことを言うんだから。



「想汰くん、わたし幸せ過ぎてヤバイ。ほんとにありがとう」


もっとたくさん言いたいことがあるんだけど、拙いわたしの言葉ではこれが精一杯。



「ぼくも幸せです」