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「どうも〜」
「………」
「え!?無視!?俺のこと見えてる!?」
「パン買わないのなら帰ってください」
ドサッ!!
「ごめんごめん、これ全部ください」
レジに持ってこられた大量のパン。
「何時まで?」
「なんであんたに教えないといけないんすか?」
「話したいなと思って」
あーウザイ
「気が合いますね」
でも、ちょーどいい。
「ぼくもあんたに話があったんで」
「ならよかった」
余裕の笑顔なのか。
龍弥(コイツ)の笑顔が死ぬほど腹が立つ。
・・・・・・・
「お疲れさん」
そう言って、さっき買ったクリームパンを渡してきた。
「いいです」
「え!いらないん!?嫌いとか!?」
「違いますから。それうまいんで、あんたが食べてください」
「そっか。なら今食べていい?」
「勝手にどーぞ」
バイト終わり
近くの公園で待ち合わせた。
「あの、とっとと用件話してもらっていいですか?」
「うわっ!ほんとにうめーな、これ!」
聞いてんのか?人の話。
「腕、ギブス取れたんだな」
「えぇ」
一昨日、無事取れた。
あとはしばらくリハビリに通いながら慣らしていく。
「なんか俺が追い出したみたいになってたらごめんな」
「は?あんたなんか関係ないですよ。ギブスしてる間お世話になってただけなんで」
龍弥は2個目のパンを食べだした。
「さっさと用件どーぞ」
「俺からいいの?おまえも話しが…「どーぞ」
ウザイ。
早く話せよ。
言いそうなことはだいたい予想つく。
「じゃ、お言葉に甘えて。えーっと…想汰くんだっけ?あのさ、俺や詩と同郷じゃない?」
ドクンッ
「ってまぁ、俺も詩も引っ越してっからもう同郷じゃないけど」
なんで?
コイツが知ってんだ?
詩先輩は知らないはず。
「同郷…?何の話かわからないんですけど」
「葵町(あおいまち)。知ってるはずだけど?」
葵町…
ぼくが先輩に出会った町。
「この前、昔の友達に会いに久々行ったんだよ。そしたら友達の弟が小学校の卒アル見せてきてさ。ビックリしたよ、狩谷想汰って名前があったから」
あー
面倒くさい
「詩、このこと知らないよね?なんで言わないの?」
「別に。地元とか聞かれてないから話してないだけです。てか、同郷だったんですね、ぼくも知らなかったです」
こんなの揺さぶりにもなんねぇよ
「ぼくが先輩に聞かれたのってどこの高校出身かだけなんで、どこに住んでたとかそんな会話してないんすよ。それがどうかしましたか?」
「へぇ〜…そっか」
龍弥がズボンのポケットから写真を1枚出した。
「んじゃ、これは?おまえと詩が一緒に写ってる」
なんでその写真…
ぼくが持ってる写真の少しアングルが違うやつ。
これを持ってるってことはー…
「友達の弟が持ってたから借りてきた。なんかおまえがすげー詩に懐いてたって」
ごまかしたってもう無駄か
「まぁ、詩は覚えてないみたいだし。ただの偶然なんだろうけど…」
「なにが言いたいんすか?」
あー、マジめんどい。
「回りくどいんですけど」
龍弥が鼻で笑って、座っていたベンチから立ち上がった。
「もし…おまえが詩を“覚えてる”ならそのことを黙ってる理由を知りたい」
「知ってどーすんの?」
「理由による。…俺はー…」
ぼくの邪魔はさせない。
「おまえと詩が一緒にいることに嫌な予感しかしねぇんだ」
「…あはは!」
21時を回った公園は、ぼくたち以外誰もいなくて静まり返っている。
そんな公園で響くぼくの笑い声。
「なんすかそれ。嫌な予感って」
バカバカしい
「その写真持ってるってことは、アキラですね?」
龍弥が言う友達の弟は、中学までの同級生の晃(あきら)のことだろう。
晃に会ったってことは、たぶんごまかせない。
〈ぼく、詩ちゃんが大好きなんだ!〉
〈そうなの!?じゃあ応援するよ!!〉
あの頃、詩先輩以外に唯一本音を話してた奴だから。
「ちょーどいいんでぼくの用件も話ちゃいますね」
ぼくが大好きな詩先輩を忘れるわけがないだろ
「ぼくと先輩の邪魔をすんな。…じゃなきゃ、消しますよ?」
龍弥がぼくを見てニッと笑った。
「やっぱ俺の勘は当たるなぁ〜」
こっちに近づいてくる。
「消されるのは想汰(おまえ)だよ」
そう言ってその場を去っていく龍弥。
「あっ。パンうまかったよ。また行くなー」
ヴーッヴーッ
龍弥が去って行ったのと同時にスマホが鳴った。
ディスプレイに出てるのは詩先輩の名前。
電話に出たいのに指が動かない。
なんでぼくは
大好きな先輩の電話に出れないんだろう。
「どうも〜」
「………」
「え!?無視!?俺のこと見えてる!?」
「パン買わないのなら帰ってください」
ドサッ!!
「ごめんごめん、これ全部ください」
レジに持ってこられた大量のパン。
「何時まで?」
「なんであんたに教えないといけないんすか?」
「話したいなと思って」
あーウザイ
「気が合いますね」
でも、ちょーどいい。
「ぼくもあんたに話があったんで」
「ならよかった」
余裕の笑顔なのか。
龍弥(コイツ)の笑顔が死ぬほど腹が立つ。
・・・・・・・
「お疲れさん」
そう言って、さっき買ったクリームパンを渡してきた。
「いいです」
「え!いらないん!?嫌いとか!?」
「違いますから。それうまいんで、あんたが食べてください」
「そっか。なら今食べていい?」
「勝手にどーぞ」
バイト終わり
近くの公園で待ち合わせた。
「あの、とっとと用件話してもらっていいですか?」
「うわっ!ほんとにうめーな、これ!」
聞いてんのか?人の話。
「腕、ギブス取れたんだな」
「えぇ」
一昨日、無事取れた。
あとはしばらくリハビリに通いながら慣らしていく。
「なんか俺が追い出したみたいになってたらごめんな」
「は?あんたなんか関係ないですよ。ギブスしてる間お世話になってただけなんで」
龍弥は2個目のパンを食べだした。
「さっさと用件どーぞ」
「俺からいいの?おまえも話しが…「どーぞ」
ウザイ。
早く話せよ。
言いそうなことはだいたい予想つく。
「じゃ、お言葉に甘えて。えーっと…想汰くんだっけ?あのさ、俺や詩と同郷じゃない?」
ドクンッ
「ってまぁ、俺も詩も引っ越してっからもう同郷じゃないけど」
なんで?
コイツが知ってんだ?
詩先輩は知らないはず。
「同郷…?何の話かわからないんですけど」
「葵町(あおいまち)。知ってるはずだけど?」
葵町…
ぼくが先輩に出会った町。
「この前、昔の友達に会いに久々行ったんだよ。そしたら友達の弟が小学校の卒アル見せてきてさ。ビックリしたよ、狩谷想汰って名前があったから」
あー
面倒くさい
「詩、このこと知らないよね?なんで言わないの?」
「別に。地元とか聞かれてないから話してないだけです。てか、同郷だったんですね、ぼくも知らなかったです」
こんなの揺さぶりにもなんねぇよ
「ぼくが先輩に聞かれたのってどこの高校出身かだけなんで、どこに住んでたとかそんな会話してないんすよ。それがどうかしましたか?」
「へぇ〜…そっか」
龍弥がズボンのポケットから写真を1枚出した。
「んじゃ、これは?おまえと詩が一緒に写ってる」
なんでその写真…
ぼくが持ってる写真の少しアングルが違うやつ。
これを持ってるってことはー…
「友達の弟が持ってたから借りてきた。なんかおまえがすげー詩に懐いてたって」
ごまかしたってもう無駄か
「まぁ、詩は覚えてないみたいだし。ただの偶然なんだろうけど…」
「なにが言いたいんすか?」
あー、マジめんどい。
「回りくどいんですけど」
龍弥が鼻で笑って、座っていたベンチから立ち上がった。
「もし…おまえが詩を“覚えてる”ならそのことを黙ってる理由を知りたい」
「知ってどーすんの?」
「理由による。…俺はー…」
ぼくの邪魔はさせない。
「おまえと詩が一緒にいることに嫌な予感しかしねぇんだ」
「…あはは!」
21時を回った公園は、ぼくたち以外誰もいなくて静まり返っている。
そんな公園で響くぼくの笑い声。
「なんすかそれ。嫌な予感って」
バカバカしい
「その写真持ってるってことは、アキラですね?」
龍弥が言う友達の弟は、中学までの同級生の晃(あきら)のことだろう。
晃に会ったってことは、たぶんごまかせない。
〈ぼく、詩ちゃんが大好きなんだ!〉
〈そうなの!?じゃあ応援するよ!!〉
あの頃、詩先輩以外に唯一本音を話してた奴だから。
「ちょーどいいんでぼくの用件も話ちゃいますね」
ぼくが大好きな詩先輩を忘れるわけがないだろ
「ぼくと先輩の邪魔をすんな。…じゃなきゃ、消しますよ?」
龍弥がぼくを見てニッと笑った。
「やっぱ俺の勘は当たるなぁ〜」
こっちに近づいてくる。
「消されるのは想汰(おまえ)だよ」
そう言ってその場を去っていく龍弥。
「あっ。パンうまかったよ。また行くなー」
ヴーッヴーッ
龍弥が去って行ったのと同時にスマホが鳴った。
ディスプレイに出てるのは詩先輩の名前。
電話に出たいのに指が動かない。
なんでぼくは
大好きな先輩の電話に出れないんだろう。



