「狩谷くん!わたしが髪乾かしてあげるね!」

ぼくは椅子に座り、後ろに立ってドライヤーをしてくれる。

あー、なんでそんな可愛いの?
わかった
ぼくを試してるんだね?
どれだけ理性を保てるか見てるんだ。

先輩は悪い人だなぁ。


先輩がぼくの髪に触れる。


トクンッ…
なんだろ、今度はすげーあったかい気持ち。

ぼくなんか…変。。


「狩谷くん」

先輩の声にハッとして顔を上げる。


鏡越しに目が合った。


「大好き」


なにそれ

そんな可愛い笑顔でそんな言葉、今言うの?


右手を伸ばしてドライヤーを持つ先輩の手を掴む。
そして、ドライヤーを止めた。


「どうしたの?狩谷く…」

グイッ
先輩の顔をぼくの方へ寄せる。



我慢できなくてキスをした。


ゆっくりと離す唇。


「か、狩谷くん。家だから。お母さんたち来たらっ…んっ」

焦ってる先輩の口を塞ぐように、またキスをする。


「騒ぐとバレますよ?」


ゾク…
たまらない
少し困った表情でぼくを見る目。
でも顔は赤くてキスを待ってるような表情。


「先輩が悪いんですよ?ぼくを煽るから」

「な、なにもしてないし…」

はいはい、無自覚ね。
先輩はほんとズルイなぁ。


「ねぇ先輩…まだキスしてほしい?」

だから、ぼくも意地悪をする。


ふにっ
先輩の唇を触る。


「ん…」
それだけで甘い声を出す先輩。


「ねぇ?どっち?嫌ならもうしないから」


涙目になる先輩。
ダメだ…可愛過ぎて止められなくなりそう。


「ねぇ先ぱー…!」

まさかの先輩からキスをされた。



「こ、これでおしまい!!バカバカ狩谷くん!!」

ぼくは意表を突かれて少し呆然としてしまった。

顔を真っ赤にして怒る先輩。


先輩からキスしてくれた。。。


ヤバイ…

嬉し過ぎる。


先輩がドライヤーをつけ直した。


「ほら!早く乾かさなきゃ風邪ひくよ!!」

「はーーい」


嬉し過ぎるから、これで満足してあげるね。



バンッ!!
「狩谷くん!珈琲飲まない?」

「わぁぁ!!お母さん!ノックしてよ!」


いきなり脱衣所に入ってきた先輩のお母さん。
そしてなんだか焦ってる先輩。


「ありがとうございます。いただきます」


ぼく、笑ってる。

なんだよ、この気持ち。
…わからない。