「やめてー!!!」

気づけばわたしは夢中で叫んで中に入っていた。
そして狩谷くんの元へ駆け寄る。


「狩谷くん!?大丈夫!!?ねぇ!!」

ゴホッと血を吐いた狩谷くん。


「先ぱ…なんで……はやくにげ…」


傷だらけであざだらけの狩谷くん。


許せない……


「おっちょーどいいじゃん。あんたに用があったんだよ桜井さん?」

腕を掴まれて無理矢理立たされる。


「コイツがさぁ〜俺の彼女取っただけじゃなくボコッてきてサツも呼びやがってさぁ〜」

さっきユキちゃんが言ってたことだ。


「でも、それ全部あんたのためだってさ。健気だよなぁ〜あんたに何もしないって条件で好きなだけ殴らせてくれるって言うんだから」


え、、、なにそれ、、、


「今からあんたが相手してくれるんなら、もうコイツには手出さねぇよ?」


あぁ、最低最悪のクズやろうだ。


「約束よ…狩谷くんにこれ以上手を出さないで。絶対に」

「ゴホッ…先輩やめろ!」


狩谷くん、わたしを守ってくれてありがとう。

今度はわたしの番。


「大丈夫だよ。わたしが狩谷くんを守るからね」

「先ぱ…い……」


恐らく小田原という男だろう。
そいつがわたしにめがけて拳を振り下ろした。



バキッ!!!




「い…てぇーー!!!」

右側から聞こえる男の人の叫び声。



「あのさぁ〜俺もいるんだけど」

「田村くん!!」


「ヤバイなあんたら。大勢でひとりをボコッて仕舞いには女にも手を出そうってか」

小田原の仲間のひとりを田村くんが殴ったようだ。


「警察呼んだから。もうそろそろ来んじゃね?」

チッと舌打ちをしてその場を去ろうとする小田原たち。



「待っー…「待て!!」

田村くんが私の言葉を遮った。


「もうこれで十分だろ?二度とこの子たちに手を出すな。もし破ったら…俺黙ってねぇよ?」

パキッと指を鳴らした田村くん。


小田原たちはなにも言わず去っていった。



「はぁー。なんとかなったな」

こ、こわいよー!!
田村くんの方がー!!!!


「狩谷くん!!病院行こ!!救急車呼ぶから!!」

「先輩…大丈夫だから。だから…」

狩谷くんがわたしの頬に手を添える。
その手には、わたしを守ってくれた証の血がついている。


「泣かないで。ね…?先輩」

そう言って狩谷くんは気を失った。



「やだっ!!狩谷くん!!狩谷くん!!!!」



ーーーーーーーーーー


う…ん……

これは…夢???


先輩の泣いてる声が聞こえる。

なんで泣いてるの?泣かないで、お願い。
いつもの可愛い顔で笑ってよ。




〈大丈夫だよ。わたしが狩谷くんを守るからね〉


さっき聞こえた言葉。


そして、7年前を思い出す。
あの時も、同じようにぼくを守ってくれた。



ねぇ先輩、助けて


助けてよ。


この果てしなく暗いところから

ぼくを引っ張り出して。