・・・・そーっと目を開ける。
「なにしてんの、こんなとこで」
「…えっ……田村くん?」
どうして田村くんがここに?
田村くんが私の前に立って、ユキちゃんの腕を掴んでいた。
「手を出すとか最低だぞ?」
パッとユキちゃんは手を払いのけた。
「邪魔しないでよ!!…まぁいいや」
ユキちゃんが不敵な笑みを浮かべた。
「手を出すのが最低?じゃあ、想汰はその最低なことをしたんだ?」
え??
「どういう…意味?」
「ユキの大事な友達、退学に追い込んだんだよねー。色んな情報流して、しかもボコボコに殴って。これも全部あんたのためみたいだから、余計ムカつく」
退学?殴る?
言ってる意味がわからない。
「小田原たちのことか?」
田村くんが言ったその名前に聞き覚えがあった。
確か…夏休み前に亜紀が言ってたような。。
「ほら」
「狩谷くん!?」
ユキちゃんがスマホに映して見せてきたのは、殴られたのか頬が腫れて口から血が出てる狩谷くんの姿。
「なによこれ!今!?今なの!?」
「さぁ?何時間か前から会ってると思うけど」
信じられない…
こんなひどいこと。。
「でもさ、こんなことを前に想汰はユキの友達にしたんだよ?こんな男嫌でしょ?巻き込まれたくなければ別れー…」
「探す」
ユキちゃんがなんか言ってたけど、そんなの今はどうでもいい。
狩谷くんを探さなきゃ。
「待て!俺も行くから!」
場所的に大学(ここ)じゃない…
とにかく外に出なきゃ。
わたしはユキちゃんを放って狩谷くんを探しに向かった。
「なんでよ……こうすれば別れるって…言ったじゃ…」
ーーーーーーーーーーー
どれぐらい走ったかな。
手当たり次第にと思ったけど…
「ハァハァ…場所が検討もつかない!!」
ガシッ
「落ち着けって」
田村くんに肩を掴まれて、ようやく足を止めた。
「たぶん人気(ひとけ)のないとこだ。あそこはいなかったから…」
チラッとわたしを見る田村くん。
「もう一箇所気になるとこがある。そこ行くか?」
「もちろん!!」
迷ってる暇なんてない。
「でも、約束しろ。絶対危ないマネすんな。俺のそばにいるんだぞ」
「…わかった」
田村くんに付いていってしばらくして着いたのは、古い工場みたいな場所。
もう使われてないようだけど。
「あっ」
近づいていくと人の声が聞こえる。
「待て」
田村くんに止められて、渋々後ろからついていく。
少しだけ開いていた扉から中を見ると
「か、かりー…むぐっ」
田村くんに口を押さえられた。
「ばかっバレるだろ」
だって!!
中に狩谷くんが!!!
数えると6人いる。
狩谷くんは座り込んで、というより倒れているように見える。
「警察呼ぶから待ってろ」
電話をするために田村くんが少し離れた。
あーー…!!
6人の内のひとりがなにか棒のようなものを振り上げた。
ダメ!!!!!



