先輩はぼくのもの


ピシャッ

保健室の扉が閉まる音がした。


「先輩、もう少し休んで寝た方がいいです」

そして狩谷くんが戻ってきた。


「心配かけてごめんね」

「いえ。太田先輩に聞けてよかったです」

亜紀が狩谷くんに言ってくれたんだ。



そっ

狩谷くんがわたしの頬に触れた。


「ぼくのしょーもないヤキモチで悩ませてごめんね」


ヤ、ヤキモチ…!?


「えっと…ヤキモチ??」

「はい。大好きな先輩がほかの男と仲良く喋ってるの見たらイラついちゃって」


そうなの??


「…でも、そんな奴器小さくて先輩嫌がるかなって思って隠そうとしちゃった」


…しちゃったって、、、

そして少し悲しそうな表情でわたしを見る



ぬぁ〜〜〜〜!!!!
なんて破壊力抜群のかっこいい&かわいい顔なんだ〜〜〜!!!!!!!


ドッドッドッと鼓動がヤバイ。


「えっと…なんか息遣い荒いけど…先輩大丈夫?」


おわっ!
すみません!!
狩谷くんが可愛すぎて舞い上がってました!!


狩谷くんがわたしの右手を握る。

「ほんとにごめんね」


ヤキモチ妬いてくれたことは素直に嬉しい。


「ゆるす!!」


しーーーーーん

あれ!?
空気変えようと思ってわざとこんな言い方してみたんだけど、、まさかのすべった!?


「ぶはっ!!」

あ…笑ってくれた。


「先輩、可愛すぎるから」

ドキッ!!


「か、狩谷くんぐらいだよ。わたしを可愛いなんて言うの…」

嬉しくて恥ずかしくて、照れてしまう。


「…ほかの奴が言うなんて無理。ぼくだけがたくさん伝えたいです」

わたしを見る目がなんだか強くなった気がする。



「先輩、キスしていい?」

「…うん」


きっと狩谷くんは不安がりなんだ。
わたしがもっと【すき】を伝えなきゃ。




ーーーーーーーーーーーー

「へぇ〜でも、狩谷くんってあんなけイケメンなのに意外と不安がりなんだ?てか、それって束縛じゃない?束縛強い男とか無理〜」

「亜紀!声大きいって!」

「だって田村くんと話してただけでヤキモチだよ?ちょっと束縛度合いとゆーか…」

「わたしが不安にさせちゃったんだよ。ちゃんとただの友達ってきちんと伝えればわかってくれると思うし」


あれから…なんとわたしは爆睡で気づけば夕方前。
狩谷くんはバイトに向かったらしい。ギリギリまでそばにいてくれたみたいで、スマホにメッセージもくれてた。

そして迎えに来てくれた亜紀と今近くのカフェにいる。


「まぁ、ちゃんと話してみなよ?」

「うん!ありがとう」


束縛…か。
帰り道、ぼーっとひとりで考える。

なんだか翔とはほんと真逆で、狩谷くんの行動や言動が全部新鮮に感じる。
翔は可愛いとか言わなかったし、ヤキモチなんて全然なかったな。
束縛?的なものも、感じたことないし。

こんな違うものなんだ。



あ…無意識に来てしまってたパン屋さん。
狩谷くん、頑張ってるかな?

チラッと覗くと、レジでお客さんと話をしてる。
お客さんは女子高生ふたり。
狩谷くん、かっこいいからすぐ声をかけられる。



なによ、狩谷くんこそ女の子と喋ってヘラヘラしてるじゃんか。



あー…

そっか。
この気持ちだ。