「そんなハイスペ狩谷くんが、桜井さんの彼氏とはねー」


えっ!!!

「田村くん、なんで知って!?」

「え?それこそ普通にうわさだけど」


うそっ!!

別に隠すつもりなかったけど、そんなすぐわかる!?
夏休み明けたとこだし、登校だって前から一緒に来てたし…


人気な狩谷くんの彼女がわたしなんて知られたら…
あ、なんか周りの反応怖いなぁー。



ギリッー…

狩谷くんの後ろから回してる腕の力が強くなった。


「まぁ誰がその“うわさ”を流したか、なんとなくわかったけど」

「え!誰!?」



ガタッ
田村くんが席を立った。


「また言うよ。じゃ、またね桜井さん」

なによ、その深みを持った言い方は〜!!




「あ…の、狩谷くん?腕…」

田村くんは行ったのに、まだ腕を回されてる。



「先輩ってさ、ぼくの彼女って自覚あります?」

「へ…?」


グイッ
顔を斜め後ろに向かされる。


顔が近くてドキドキする。


「あ、あるに決まってるじゃんか」

「ふーん。あんな男と仲良くしちゃって」


仲良くって…

「友達だよ?喋ったりするのは当たり前でしょ」


あ…れ……

なんか、、なんとも言えない空気が流れる、


「…そうですね」

ドクンッ!!
ものすごい冷たい目。

そして離れる腕。


「じゃーね。先輩」


このまま離れちゃダメだ
直感だけどそう思った。


「待ってよ!」


振り向いた時の目も冷たくて、なんだか少し怖い。


「…怒ったの?」

わたし、怒らせたの?
でも、友達と話しただけで……


「怒ってないですよ」


さっきまでの表情は嘘のように、ニコッといつものように笑ってくれた。
その笑顔にホッとするわたし。


「んじゃ、ぼく行きますね」

「うん。頑張ってね」


狩谷くんは食堂から出て行った。


…ってあれ?
狩谷くんもこの時間にここに来たってことは空きだったのかな?

狩谷くんとは時間割がよく似てるなぁー。




ーーーーーーーーーーーーーー


あー。ヤバイヤバイ。
先輩にこのイラつきをぶつけてしまいそうだった。


〈やっぱ桜井さんといると楽だわー〉


あの男、すぐにでも消したい。




次の日。


「あー!狩谷くん!」

「太田先輩、こんにちは」

「あれ?詩先輩は?次、一緒の授業っすよね?」

「おー、さすが。でも実はさっき詩が立ちくらみ起こしちゃって…今保健室で寝てるの」

「は…?」


急いで保健室に向かった。



ガラッ!

「先輩!?」


「え…!狩谷くん!?」

保健の先生は見当たらず、少し奥にあるベッドの方から詩先輩の声がした。


声がする方へ行きカーテンを開けると、詩先輩と田村がいた。

ヤバイ、スイッチが入りそう。


「あー、さすが彼氏だね。どこで聞きつけたの?」

「…先輩大丈夫ですか?」


とりあえず田村は無視。


「心配かけてごめんね。ただの立ちくらみなだけだから。寝不足が原因かも」

「昨日寝れてなかったんですか?」

「いや、えっと…」


「狩谷くーん。俺とのことでヤキモチ妬いて桜井さん悩ませちゃダメだよ〜」


は??


「昨日なんで怒らせちゃったのかってあれからも悩んでたみたいだから」


ぼくは横目で田村を睨んだ。