ピンポーンー…

インターホンの音で目が覚めた。


「今何時…」

部屋の時計を見て10時を過ぎているのがわかった。


ヤベ…あれから寝てしまってた。


ピンポーン…

また鳴るインターホン。


勧誘かなんかだろ。
無視しとこ。


軽くうがいをして、先輩が買ってくれたスポーツドリンクを飲む。


あー、スッキリした。



ヴーッ

今度はスマホが鳴った。


メッセージを開いて急いで玄関に行く。


ガチャッ

「先輩!?」

「あれ!?起きてた!?」


よかった…間に合った。


メッセージは先輩からだった。

《体調大丈夫かな?おにぎり作ったのでドアノブにかけておきます》

嬉し過ぎて一気に目が覚めた。



「すみません…寝てました」

帰りかけてた先輩がこっちへ戻ってくる。


「起こしてごめんね。体調心配だったから…あと朝ご飯よかったらと思って」


カサッ
ぼくはドアノブにかけてある袋を取った。


中には少し形が歪なおにぎりが4個入っていた。


「これ…先輩が作ってくれたんすか?」

「えっとね、形は変だけど味は確かだよ!お母さんも美味しいって言ってたから!」


なにこれ
朝からたまんない。
なんのご褒美ですか。


「ありがとうございます」

嬉し過ぎて、可愛過ぎて溢れる気持ちを抑えきれない。


「えっとね、味はごましおと昆布の2種類だよ」

「ぼくの好きな味です」


先輩がぼくのために作ったものなら、全てぼくの好きなものだよ。


なんでこんな可愛いことばっかするかなぁ。


「先輩、ぼくのこと好きなんですか?」

意地悪してやろうと思った。



「えっ……」



あ、ヤバイ。
その表情(かお)はヤバイよ、先輩。


「きゃっ…」

先輩の腕を引っ張って、玄関の中に入れた。


トンッ
先輩の背中が壁に当たる。



「なに…どしたの??」


さっきの表情(かお)はなに?


「先輩、さっきの質問に答えて」

ほら、また顔を赤くして少し困ったような表情をする。



「ぼくのこと…どう思ってるんですか?」

ちょっとした意地悪のつもりだったのに…

あんな表情(かお)見たら、、止められなくなるよ。



「どうって…別に……」

「別に?」


詩先輩はぼくの計画を狂わせる。



「弟みたいな存在だから…」


ふーん


あっそ


「じゃあ、弟みたいなぼくにそんな表情(かお)するのはなんで?」


逃がさない。




「なんでって……」

泣きそうな顔になった。


ぞくっ…
そんな顔も可愛くて愛しくてたまらない。



先輩が悪いんだよ。

なんだよ、弟って



ぼくはもっと時間をかけるつもりだったのに



ぼくに余裕をなくさせるから



「ぼくをからかってるんですか?」

「そんなことー…!!」



ほら


「んっ……」


キスしてしまった。