先輩はぼくのもの

「なぁ詩。アキラがマジで想汰の誕生日祝うの?」

「え?そうだよ」

アキラが…? 


「どうしたの?」

「いや、、聞いただけ」




〈あれ?狩谷知ってるんですか?〉

〈あぁ。ちょっとね…〉

〈世間狭いですねー。コイツ、この女の人の事ずっと好き好き言ってて、高校や大学調べてストーカーしてましたよ〉

〈…は、、?〉


想汰に出会った頃、地元に戻った時に久しぶりに友達ん家に行った。
その友達の弟がアキラだった。

いきなり見せてきたアキラの卒アルに想汰が写っていた。


〈アイツ、犯罪者ですよ?〉

〈犯罪者…?〉





わざわざこんな手の込んだ祝い方をしようとする相手のことを、あんな風に話すか…?


「龍弥?」

「あ、別に理由ないし気にしないで」


なんだろ、なんか引っかかる。




ーーーーーー

プルルルー・・・

「チッ…でねぇ」

何度も晃に電話をかけるが出ない。


わかってたはずなのに
アイツに前会った時から

なのに、なんで油断した!?



ドンッ

「すみませー…「どした!?」

電話をかけるのに必死で前を見てなかったせいで人にぶつかった。


「田村先輩…」

「おまえ、この世の終わりみたいな表情(かお)してんぞ!なんかあったか!?」


ぶつかった相手は田村先輩だった。


「いえ…なんでもありません」


この人のことだから、話せば何かしら力になろうとしてくれる。
だから、巻き込むわけにはいかない。


「あるだろ。言え、今すぐに」

その場を去ろうとしたら強く腕を握られた。



「ないですってば。しつこいな」

あー、ほんと最低。
こんなに心配してくれてる人にこんな言葉吐くんだから。


だから先輩
こんなぼくは放っておいて。


「言うまで話さないからな」



なんで、、、

「ねぇ先輩、やっぱぼくは犯罪者なんですよ」


「え…?」

一瞬、田村先輩の腕の力が緩んだ。


パシッ
その瞬間、急いで田村先輩から離れる。


「じゃ、失礼します」


もう巻き込みたくない。
詩先輩も
田村先輩も

大切なひとたちを。






走りながら門を出ると後ろから声がした。

「しつこい着信。ウザイんだけど」


声のする方に急いで振り向く。


「晃…」

「なに?なんか用?」


へらっとしている晃の表情に苛立ちを抑えきれず、胸ぐらを掴んだ。


「…苦しいんだけど」

「詩先輩に何した!?」

「は?なんのこと?」


ぼくを嘲笑うかのような挑戦的な表情にさらに苛立ちが増す。


「ふざけんな!詩先輩は何も関係ないだろ!直接ぼくに来いよ!」


ガシッ

胸ぐらを掴んでいたぼくの手を晃が強く握った。


「詩先輩詩先輩…ってうるせーんだよ!」

次の瞬間、みぞおちあたりを強く蹴られてぼくはその場に倒れ込んだ。

「…った……」


グイッ

晃に髪を引っ張られて、顔を無理矢理上げられた。


「おまえみたいな奴があの人のそばにいんじゃねーよ!」


は‥‥?


「俺はおまえを許さない」

冷たく、そして怒りに満ちた晃の表情。