センセイは透明感ハンパない

土曜日の図書館はひとがたくさんいた。何やらイベントがあるらしい。木が多くて広い図書館の庭に、キッチンカーが複数出ている。
100年前に建てられた石造りの大きな図書館だ。中は10年前に改装され、1階は子ども用の図書館、2階は大人用、3階に勉強スペースと会議室がある。改装されても窓などはそのままなので、めずらしいガラスや窓の鍵なども見られると先生が教えてくれた。先生、博識!!

「きみはどんなジャンルが好き?」
「そうですね。
ホラーは苦手かな」
「ラブストーリーは?」
「良いですね」
図書館に入る前に軽く打ち合わせをした。入ってすぐ、俺はカウンターでまごまごしながら手続きをし、貸し出しカードを作った。そして、ワンピースのすそをひるがえしてさっそうと歩いていく先生のあとを追った。
先生はどこにどのジャンルの本があるか把握しているようだ。迷わずラブストーリーの文庫本の棚にたどり着く。わぁ、いっぱいある!! どのタイトルも面白そうだなぁ。

先生が上の本に手を伸ばした。届かない。俺がその本に手を伸ばしている間に、先生はどこからか踏み台を引きずってきた。
俺、今日、
先生に格好良いとこ全然見せられないんですけど!! (いつも見せられないけど!!)