センセイは透明感ハンパない

「先生」
次に先生に会った日は、午後、日差しが強く、先生が来る夕方には空気が冷えていた。
「先生が話せる言語ってなんでしたっけ」
「日本語、英語、フランス語、ドイツ語、ラテン語、中国語」
「どれがいちばん難しかったですか」
「日本語」
目からうろこが落ちた。

「日本語の言葉を知らないと、外国語の語彙が増えない」
「え」
「きみはさ、
たとえば『love』って単語が出てきた時、それを日本語でなんて言うのか知らなかったら、使えないと思わない?」
「なるほど。
だから先生は読書をよくするんですね。言葉の勉強のために」
あたりだったらしい。先生が小さな花のように笑った。
「読書って趣味だけど勉強でもあるから」
「そうなんですね」
「もし、興味があるなら、おすすめの本のリスト作るよ」
「ありがとうございます。お願いします。
あ、あの、先生」
「はい」

俺は、思い切って、先生にこう告げた。
「今度、
区立図書館へいっしょに行っていただけませんか。ひとりだと敷居が高くて」
「良いよ」

先生はあっさりとそう答えた。よっしゃー、デートじゃー!!