星「葉奈乃さんのことを、私はもっと知りたいんです。」
〇授業終わりの二人きりの教室。
恋愛リハビリのための対話をしていた星先生が、恋をジッと見つめてつぶやいた。
〇苦手な教授からレポートにダメ出しを受けて脳内がショートしていた恋は、突然の星先生の言葉にドキッとした。
恋「知りたいって、何をですか?」
星「昨夜、私たちの恋愛リハビリの傾向を客観的に分析したんです。」
〇星が二人の話の傾向をパーセンテージに表した円グラフのプリントを恋に見せる。
恋(分析って…ホントに真面目なんだから!)
星「結果、大学の話ばかりで恋愛要素が足りないのではないかと。恋愛リハビリなのに。」
恋「恋愛要素…あッ。」
恋(もしかして、星先生は私のプライベートを気にしてくれてる?
恋愛リハビリでは偽装彼女の設定だけど、私というオンナに興味が湧いてきたのかなッ⁉)
〇恋が妄想に胸を膨らませていると、星先生が話を補足した。
星「そこで提案です。話を広げるために、まずはお互いのプロフを知りませんか?」
恋「ですよね。」
〇恋はガッカリするが、冷静を装ってうなずいた。
恋「確かに情報を共有したほうがリハビリになるかも。」
星「今日はこのあと空いてる?」
恋「はい。」
星「良ければ食事をしながらお互いの話をしましょう。」
恋「エエッ、食事⁉ はい、はいッ!」
〇恋の頭の中は一気にお花畑が広がった。
恋(星先生は大人だから、私が行ったことのない素敵なレストランやバーに連れて行ってくれそう!)
◯ふとガラスに映った自分の姿を見て、恋は一気にテンションが下がった。
恋「でも私、こんな格好ですよ?」
〇シンプルな黒のロゴTシャツに白のミディスカート。
恋(ちゃんとしたお店にはドレスコードがあると聞いたことがある。いつものヨレヨレジーンズや穴あきスウェットではないにしても、カジュアルすきんか?)
〇星があごに手を当てて考える素振りをする。
星「格好? そういえば今日はいつもと違うような…。」
◯恋は星先生の言葉にドキッとした。
恋(私がいつもはパンツなのに、スカートを履いてることに気づいてくれた?)
星「でも、安心して。なぜか女性アレルギーは出ていないから。」
恋(ってオイ! 気づいてくれないじゃん!
別に好かれようとは思ってなくても、恋愛において「可愛い」とか「似合うね」のほめ言葉は食後のデザートくらい重要だよ?)
【恋モノローグ】
星先生のソルトさは思ってたよりも重症だ。
正統派イケメンにリハビリするには、時間ががかりそう!
♢
恋「ココって…。」
〇恋は言葉を失った。
星先生が車を入れた商業ビルの地下駐車場。
大きなに看板に書かれた文字は、まさかのネットカフェだった!
恋(高校生の時、卒業式のあとにクラスの仲間たちとノリで遊びに来たことはあるけど…。)
【恋モノローグ】
当たり前のように受付で支払いを済ませる星先生が、不釣り合いすぎてもはや漫才のネタみたい…。
◯受付台の前に並ぶ恋と星先生。
ネットカフェの店員「今、カップルシートしか空いてないのですが。」
星「じゃ、それでお願いします。」
恋(なぬ? カップルシートですと⁇ そんなものがこの世に存在するの⁉)
〇恋は鼻息を荒くしてラミネートされたメニュー表の写真を凝視した。
店員に案内されて狭い通路を歩いていくと、その内容は半面がガラス張りの個室だった。
恋(ふぅ、思ったより普通で安心…!)
〇危ない妄想をしていた恋は火照った両頬を両手で挟む。
星「お疲れ様でした。」
〇星先生は慣れた様子で部屋に入る。
部屋は6畳くらいのゆとりがあり、二人で過ごすには十分なスペースがあった。
〇恋が物珍しく辺りを見まわしていると、星先生がおもむろに着替えを始めた。
恋「キャーッ!」
〇目の前でスラックスを降ろして黒のボクサーパンツ姿になる先生に、恋は悲鳴を上げて目を覆った。
恋「ままま、待ってください! 心と今日の下着の準備が…!!」
星「ゴメン。着替えるから後ろ向いてて。」
◯気にする素振りを見せずにシャツのボタンを外す星。
たまらず後ろを向いて叫ぶ恋。
恋「それは着替える前に言ってください!」
星「大丈夫。すぐ着替えるから。」
恋(いや、私が大丈夫じゃない‼)
〇あっという間にレンタルのスウエット姿になった先生は、悪びれる様子がない。
星「葉奈乃さんも着替える?」
恋「結構ですッ!」
〇恋に気を使うそぶりもなく、星先生は慣れた様子で部屋に付いている受話器を手に取り注文を始めた。
星「葉奈乃さんは何か頼む?
ここのスパイシーポテトとハニトーはオススメだよ。」
恋「じゃあ、それでお願いします。」
星「オッケー。」
〇恋たちはそれぞれマンガを取りに行き、ドリンクバーに行って飲み物をゲットした。
星ののんびりした雰囲気に流されてゴロゴロしながらマンガを読んだりゲームをしたりして一時間ほど過ごした恋は、急に我に返った。
恋「あのー先生、私たちって恋愛リハビリのために来たんですよね。」
星「あー、そういえば!」
〇両手を打ち合わせた星先生は、照れたように笑い、あらためてお互いの家族構成や趣味について話し合った。
星「私は理学療法士の父親と看護師の母、それから一つ年上の姉がいます。
この姉の私へのいじりが酷すぎて女性アレルギーになりました。
趣味は車磨きとドライブです。」
恋「私はサラリーマンの父とパート社員の母、兄と姉の三人兄妹です。
基本みんな仲良しだけど、どうでもいいことでケンカしてます。でも、次の日にはみんな忘れるから根に持つことはないかな。
みんなちょっとおバカなんです。
趣味は音楽鑑賞とマラソン。知ってると思いますが長距離やってたんで。」
〇自分の家族構成と趣味を話したあと、星はポリポリと頭を掻いた。
星「あと、何かある?」
恋「いや…というか、恋愛経験が少なすぎて正解が分かりません!」
星「こういうときに参考になるのは少女マンガだよなー。」
恋「え? それ常識ですか?」
〇星先生は少女マンガのコーナーから抱えるほどのマンガを持ってきた。
恋が知っているタイトルのマンガが複数あり、恋も懐かしさで思わず手を伸ばす。
恋「星先生も恋愛マンガを読むんですか?」
星「うん、読むよ。姉の部屋のマンガは読破した。
【別冊シガレット】とか月刊【花と蜂】とか常に家にあったから。」
恋「なんか星先生って…知れば知るほどガムみたいで面白い人ですね。」
星「ガム…それって褒めてますか?」
〇目の前の星先生がセラピストとしての真面目な姿とあまりにも違いすぎて、恋はつい笑ってしまった。
星「葉奈乃さんは私の初恋の人に似てる気がします。」
恋「どこが?」
星「後ろ姿が。」
恋「…それってどうなんですか?」
〇お互いの飾らない姿を見せた二人は、自然に笑いがこぼれる。
星「そういえば葉奈乃さん、家での膝のリハビリを再開したの?」
恋「何で分かるんですか? 前に先生に教えてもらったプログラムを毎日2時間やっています。」
星「事務室で見た時よりも傾きが少なかったし、左足に筋肉がついたように見えたから。
今度、リハビリ室で筋肉量を計測しましょう。」
◯星先生は片膝をフロアについて両手で恋の膝の半月板を動かす。
先生の長いまつ毛を上から見下ろしながら、恋は切なくなる。
【恋モノローグ】
こんなにボディタッチされても、ぜんぜんいやらしく感じない。やっぱり先生にとって、私はただの患者に過ぎないんだな…。
♢
◯その日は結局、一緒に並んで一冊の少女マンガを読んで終了した。
星がスマホの時間とレシートの時間を見比べる。
星「そろそろ時間だね。いやー有意義な日だった。」
恋「そうですか? ただ一緒に遊んだだけのような…。」
星「楽しかったよ。」
◯星の優しい目線。
思ったよりも星が間近に居て、肩が触れる。
恋「き、今日はありがとうございました。また明日〜!」
〇頭を下げて帰ろうとした恋の頭に星は手を置いた。
それからおもむろに耳元で囁く。
星「もう暗いよ。危ないから家まで送ってく。」
恋「ッ!」
〇顏を赤くして勢いよく後ずさりした恋。
星は照れながら机の上のコーラを口にする。
星「今読んだマンガを参考にしてみたんですけど、どうですか?」
恋「最後のひと言は余計です!」
あと、今先生が飲んでるのは私の残したコーラです!」
星「知ってる。目の前にあったから飲んだんだ。」
〇恋が苦悩した顏で目をギュッと瞑る。
【恋モノローグ】
それって間接キスじゃん!
「目の前にあったから」って、脳内5歳児か⁉
♢
〇星先生の車で家まで送ってもらった恋。
一日を振り返りながら顏がニヤけてしまう。
恋(憧れていた一日では無かったけど、星先生の意外な一面が見れて楽しかったな♪)
〇玄関に入ろうとしたとき、スマホのアプリの着信音が鳴った。
恋(新着ニュース?)
〇画面の小窓に浮かぶショートメールの文章を見た後、恋は頭が打ちつけられたかのような衝撃を感じた。
『運動器疾患の星と一年の葉奈乃が付き合ってる!!』
〇慌てて大学のエンスタを開くと、恋と星が車に乗っている写真が投稿されていて、それにたくさんのコメントがついている。
【恋モノローグ】
なにこれ。
誰がこんなことを!?
〇送信先は写真のないシルエットのアカウント。誰なのかは一切明かしていない。
【恋モノローグ】
この火種がやがて大炎上になるなんて、この時の私は予想していなかった。
〇授業終わりの二人きりの教室。
恋愛リハビリのための対話をしていた星先生が、恋をジッと見つめてつぶやいた。
〇苦手な教授からレポートにダメ出しを受けて脳内がショートしていた恋は、突然の星先生の言葉にドキッとした。
恋「知りたいって、何をですか?」
星「昨夜、私たちの恋愛リハビリの傾向を客観的に分析したんです。」
〇星が二人の話の傾向をパーセンテージに表した円グラフのプリントを恋に見せる。
恋(分析って…ホントに真面目なんだから!)
星「結果、大学の話ばかりで恋愛要素が足りないのではないかと。恋愛リハビリなのに。」
恋「恋愛要素…あッ。」
恋(もしかして、星先生は私のプライベートを気にしてくれてる?
恋愛リハビリでは偽装彼女の設定だけど、私というオンナに興味が湧いてきたのかなッ⁉)
〇恋が妄想に胸を膨らませていると、星先生が話を補足した。
星「そこで提案です。話を広げるために、まずはお互いのプロフを知りませんか?」
恋「ですよね。」
〇恋はガッカリするが、冷静を装ってうなずいた。
恋「確かに情報を共有したほうがリハビリになるかも。」
星「今日はこのあと空いてる?」
恋「はい。」
星「良ければ食事をしながらお互いの話をしましょう。」
恋「エエッ、食事⁉ はい、はいッ!」
〇恋の頭の中は一気にお花畑が広がった。
恋(星先生は大人だから、私が行ったことのない素敵なレストランやバーに連れて行ってくれそう!)
◯ふとガラスに映った自分の姿を見て、恋は一気にテンションが下がった。
恋「でも私、こんな格好ですよ?」
〇シンプルな黒のロゴTシャツに白のミディスカート。
恋(ちゃんとしたお店にはドレスコードがあると聞いたことがある。いつものヨレヨレジーンズや穴あきスウェットではないにしても、カジュアルすきんか?)
〇星があごに手を当てて考える素振りをする。
星「格好? そういえば今日はいつもと違うような…。」
◯恋は星先生の言葉にドキッとした。
恋(私がいつもはパンツなのに、スカートを履いてることに気づいてくれた?)
星「でも、安心して。なぜか女性アレルギーは出ていないから。」
恋(ってオイ! 気づいてくれないじゃん!
別に好かれようとは思ってなくても、恋愛において「可愛い」とか「似合うね」のほめ言葉は食後のデザートくらい重要だよ?)
【恋モノローグ】
星先生のソルトさは思ってたよりも重症だ。
正統派イケメンにリハビリするには、時間ががかりそう!
♢
恋「ココって…。」
〇恋は言葉を失った。
星先生が車を入れた商業ビルの地下駐車場。
大きなに看板に書かれた文字は、まさかのネットカフェだった!
恋(高校生の時、卒業式のあとにクラスの仲間たちとノリで遊びに来たことはあるけど…。)
【恋モノローグ】
当たり前のように受付で支払いを済ませる星先生が、不釣り合いすぎてもはや漫才のネタみたい…。
◯受付台の前に並ぶ恋と星先生。
ネットカフェの店員「今、カップルシートしか空いてないのですが。」
星「じゃ、それでお願いします。」
恋(なぬ? カップルシートですと⁇ そんなものがこの世に存在するの⁉)
〇恋は鼻息を荒くしてラミネートされたメニュー表の写真を凝視した。
店員に案内されて狭い通路を歩いていくと、その内容は半面がガラス張りの個室だった。
恋(ふぅ、思ったより普通で安心…!)
〇危ない妄想をしていた恋は火照った両頬を両手で挟む。
星「お疲れ様でした。」
〇星先生は慣れた様子で部屋に入る。
部屋は6畳くらいのゆとりがあり、二人で過ごすには十分なスペースがあった。
〇恋が物珍しく辺りを見まわしていると、星先生がおもむろに着替えを始めた。
恋「キャーッ!」
〇目の前でスラックスを降ろして黒のボクサーパンツ姿になる先生に、恋は悲鳴を上げて目を覆った。
恋「ままま、待ってください! 心と今日の下着の準備が…!!」
星「ゴメン。着替えるから後ろ向いてて。」
◯気にする素振りを見せずにシャツのボタンを外す星。
たまらず後ろを向いて叫ぶ恋。
恋「それは着替える前に言ってください!」
星「大丈夫。すぐ着替えるから。」
恋(いや、私が大丈夫じゃない‼)
〇あっという間にレンタルのスウエット姿になった先生は、悪びれる様子がない。
星「葉奈乃さんも着替える?」
恋「結構ですッ!」
〇恋に気を使うそぶりもなく、星先生は慣れた様子で部屋に付いている受話器を手に取り注文を始めた。
星「葉奈乃さんは何か頼む?
ここのスパイシーポテトとハニトーはオススメだよ。」
恋「じゃあ、それでお願いします。」
星「オッケー。」
〇恋たちはそれぞれマンガを取りに行き、ドリンクバーに行って飲み物をゲットした。
星ののんびりした雰囲気に流されてゴロゴロしながらマンガを読んだりゲームをしたりして一時間ほど過ごした恋は、急に我に返った。
恋「あのー先生、私たちって恋愛リハビリのために来たんですよね。」
星「あー、そういえば!」
〇両手を打ち合わせた星先生は、照れたように笑い、あらためてお互いの家族構成や趣味について話し合った。
星「私は理学療法士の父親と看護師の母、それから一つ年上の姉がいます。
この姉の私へのいじりが酷すぎて女性アレルギーになりました。
趣味は車磨きとドライブです。」
恋「私はサラリーマンの父とパート社員の母、兄と姉の三人兄妹です。
基本みんな仲良しだけど、どうでもいいことでケンカしてます。でも、次の日にはみんな忘れるから根に持つことはないかな。
みんなちょっとおバカなんです。
趣味は音楽鑑賞とマラソン。知ってると思いますが長距離やってたんで。」
〇自分の家族構成と趣味を話したあと、星はポリポリと頭を掻いた。
星「あと、何かある?」
恋「いや…というか、恋愛経験が少なすぎて正解が分かりません!」
星「こういうときに参考になるのは少女マンガだよなー。」
恋「え? それ常識ですか?」
〇星先生は少女マンガのコーナーから抱えるほどのマンガを持ってきた。
恋が知っているタイトルのマンガが複数あり、恋も懐かしさで思わず手を伸ばす。
恋「星先生も恋愛マンガを読むんですか?」
星「うん、読むよ。姉の部屋のマンガは読破した。
【別冊シガレット】とか月刊【花と蜂】とか常に家にあったから。」
恋「なんか星先生って…知れば知るほどガムみたいで面白い人ですね。」
星「ガム…それって褒めてますか?」
〇目の前の星先生がセラピストとしての真面目な姿とあまりにも違いすぎて、恋はつい笑ってしまった。
星「葉奈乃さんは私の初恋の人に似てる気がします。」
恋「どこが?」
星「後ろ姿が。」
恋「…それってどうなんですか?」
〇お互いの飾らない姿を見せた二人は、自然に笑いがこぼれる。
星「そういえば葉奈乃さん、家での膝のリハビリを再開したの?」
恋「何で分かるんですか? 前に先生に教えてもらったプログラムを毎日2時間やっています。」
星「事務室で見た時よりも傾きが少なかったし、左足に筋肉がついたように見えたから。
今度、リハビリ室で筋肉量を計測しましょう。」
◯星先生は片膝をフロアについて両手で恋の膝の半月板を動かす。
先生の長いまつ毛を上から見下ろしながら、恋は切なくなる。
【恋モノローグ】
こんなにボディタッチされても、ぜんぜんいやらしく感じない。やっぱり先生にとって、私はただの患者に過ぎないんだな…。
♢
◯その日は結局、一緒に並んで一冊の少女マンガを読んで終了した。
星がスマホの時間とレシートの時間を見比べる。
星「そろそろ時間だね。いやー有意義な日だった。」
恋「そうですか? ただ一緒に遊んだだけのような…。」
星「楽しかったよ。」
◯星の優しい目線。
思ったよりも星が間近に居て、肩が触れる。
恋「き、今日はありがとうございました。また明日〜!」
〇頭を下げて帰ろうとした恋の頭に星は手を置いた。
それからおもむろに耳元で囁く。
星「もう暗いよ。危ないから家まで送ってく。」
恋「ッ!」
〇顏を赤くして勢いよく後ずさりした恋。
星は照れながら机の上のコーラを口にする。
星「今読んだマンガを参考にしてみたんですけど、どうですか?」
恋「最後のひと言は余計です!」
あと、今先生が飲んでるのは私の残したコーラです!」
星「知ってる。目の前にあったから飲んだんだ。」
〇恋が苦悩した顏で目をギュッと瞑る。
【恋モノローグ】
それって間接キスじゃん!
「目の前にあったから」って、脳内5歳児か⁉
♢
〇星先生の車で家まで送ってもらった恋。
一日を振り返りながら顏がニヤけてしまう。
恋(憧れていた一日では無かったけど、星先生の意外な一面が見れて楽しかったな♪)
〇玄関に入ろうとしたとき、スマホのアプリの着信音が鳴った。
恋(新着ニュース?)
〇画面の小窓に浮かぶショートメールの文章を見た後、恋は頭が打ちつけられたかのような衝撃を感じた。
『運動器疾患の星と一年の葉奈乃が付き合ってる!!』
〇慌てて大学のエンスタを開くと、恋と星が車に乗っている写真が投稿されていて、それにたくさんのコメントがついている。
【恋モノローグ】
なにこれ。
誰がこんなことを!?
〇送信先は写真のないシルエットのアカウント。誰なのかは一切明かしていない。
【恋モノローグ】
この火種がやがて大炎上になるなんて、この時の私は予想していなかった。



