ひまり「恋が星先生と恋愛リハビリ⁉ なにそれヤッバーい‼」
◯恋の親友・ひまりが頬張ったラーメンの麺を吐き出す勢いで叫んだ。
昼時の大学の食堂は授業から解放された腹ペコの若者たちで活気づいている。
【恋モノローグ】
他専攻の学生との交流会の場にもなるこの昼休みが、大学生活における唯一の私の癒しだ。
いつも騒がしくて周りの会話なんて気にならないから、秘密の話をしても大丈夫。
だと思っていたけど…。
◯ひまりの声は一瞬にして周囲の人たちを振り向かせた。
ひまり「マンガじゃあるまいし、先生と生徒が恋愛リハビリとか、そんなチート設定ありえないよ!」
恋「ひまり、ボリューム絞って!」
ひまりのせいで好奇の目に晒された恋は、萎縮しながら声をひそめた。
恋「そんな簡単なことじゃないよ。
あと、このことはゼッタイに他の人には話さないでね‼」
ひまり「あっ、ゴメン…。」
◯周りを見渡したひまりは迷惑そうな顔の事務員に睨まれ、少し声のトーンを抑えてくれた。
恋「昔フラれた相手と恋愛リハビリだなんて、よく考えたら引き受けるんじゃなかったよー!」
◯恋が頭を抱えると、ひまりはラーメンの丼に直接口をつけてスープをすすりながら爆弾発言をした。
ひまり「それなら代わって欲しいわ。」
恋「え?」
ひまり「だって、あたしも星先生のこと好きだったもん。」
恋「し、知らなかった!」
◯ひまりは冷や汗をかく恋を軽く睨んだ。
ひまり「あんたが年がら年中星先生のことでスキスキ騒ぐから、言えなかったけどね!」
恋「…なんかゴメン。」
◯シュンとうなだれた恋に、ひまりが吹き出した。
ひまり「ウソウソ、冗談だよ!
でも、あの星先生が女性アレルギーだったなんて意外だな〜。」
恋「そうなんだよね。仕事だと割り切れるけど、対個人になるとダメなんだって。」
ひまり「ふーん。しっかし、不思議だね。」
◯ひまりはデザートのソフトクリームを舐めながら首を傾げた。
ひまり「なんで今になって急に先生はリハビリする気になったんだろう?」
恋「さ、さぁ。」
ひまり「理由がありそうだよね。」
恋「うーん…だね。」
◯歯切れの悪い返事をする恋
【恋モノローグ】
ひまりには言えないけど、実は私はその理由を知っている。
私は事務室での星先生との会話を思い出した。
♢
(回想始まり~)
恋「な、何ですか、突然⁉
恋愛リハビリってなんで?」
◯恋が泡を吹きながら聞き返すと、対照的に星先生は冷静な口調で答えた。
星「私は女性アレルギーを克服したいんです。
仕事以外でも女性に接する機会はあるし、好きな人ができても何もできない。
アレルギーが出ない程度のお付き合いにすると、コミュニケーション不足になる。
それが人によっては冷たい人間に見えるみたいでいつも困っているんです。」
恋(あ、ソルト先生が塩対応って…そういうことか。)
◯恋は事務員さんたちが囁いていたあだ名を思い出した。
恋(目に見えない障害が他人には理解してもらえないのは、やっぱりツライよね。)
◯星先生は少し鼻息を荒くして恋にプレゼンを続けた。
星「調べたんです。
アレルギーへの対処はアレルゲンに何回も触れて慣れることでしょ。
だから一日一回、葉奈乃さんと触れ合うことで治療・もしくは最小限にできるんじゃないかと考えました。」
恋「触れ合う?」
星「いやらしい意味ではないです。
例えばこうして一緒にお話したりするだけでも構いません。
私の女性に対する機能を評価し一緒に目標を立ててもらえたら助かります。」
恋(小難しい事言ってるけど、毎日私と会うことで女性アレルギーを克服したいということだよね?
星先生はすごくマジメな人なんだな。)
星「もし、引き受けてくれたら今回の事故で葉奈乃さんの保険は使わなくてもいいですよ。」
恋「え、それは。」
星「おまけに私が担当している運動器疾患理学療法学の授業は休んでも出席扱いにしてあげます。」
◯恋はゴクリと生唾を飲んだ。
恋「そんな夢みたいな話ありますか?
先生、私を騙そうとしてません?」
星「私はここの大学の会長の甥っ子なんです。
ある程度の融通は利かせられると思います。」
【恋モノローグ】
正直、先生のアレルギーを治せるかは自信がない。
でも私の目的は理学療法士になることで、最終的目標は楽しい女子大生ライフ。
最短で国家試験に受かるならそれに越したことはないのでは…⁉
恋「やります!」
◯妄想だけで恋は笑顔とよだれがこぼれてしまう。
恋「でも、何でそこまでするんですか?」
◯恋はよだれを誤魔化すために質問した。
すると先生は一瞬戸惑ったものの、恥じらいながら答えた。
星「実はその…好きな女性が出来たんですが、このアレルギーのせいであまり上手く想いが伝えられなくて。」
恋「ああ…。」
【恋モノローグ】
先生、好きな人が居るんだ。
私にもワンチャンあるかもなんて、期待しちゃダメだった。
恋(やっぱり私はツイてない女なんだな。)
【恋モノローグ】
だけどこういう時はネガティブな気持ちを変換することが大事。
ピンチはチャンスだと思おう。
そして、過去の黒歴史を見事に昇華させることができたら、私も前に進むことができる気がする!
◯恋は萎えそうな心を奮い立たせて、先生の恋愛を応援することにした。
恋「私に任せてください!
アレルギーも恋愛もどっちも完治させてみせます!」
◯星先生はくしゃりと笑った。
星「頼むよ、葉奈乃先生。」
【恋モノローグ】
やっぱり目が合うたびに胸がドキドキして切ない。
私、星先生のことがまだ好きみたい…。
(~回想終わり)
◯恋の親友・ひまりが頬張ったラーメンの麺を吐き出す勢いで叫んだ。
昼時の大学の食堂は授業から解放された腹ペコの若者たちで活気づいている。
【恋モノローグ】
他専攻の学生との交流会の場にもなるこの昼休みが、大学生活における唯一の私の癒しだ。
いつも騒がしくて周りの会話なんて気にならないから、秘密の話をしても大丈夫。
だと思っていたけど…。
◯ひまりの声は一瞬にして周囲の人たちを振り向かせた。
ひまり「マンガじゃあるまいし、先生と生徒が恋愛リハビリとか、そんなチート設定ありえないよ!」
恋「ひまり、ボリューム絞って!」
ひまりのせいで好奇の目に晒された恋は、萎縮しながら声をひそめた。
恋「そんな簡単なことじゃないよ。
あと、このことはゼッタイに他の人には話さないでね‼」
ひまり「あっ、ゴメン…。」
◯周りを見渡したひまりは迷惑そうな顔の事務員に睨まれ、少し声のトーンを抑えてくれた。
恋「昔フラれた相手と恋愛リハビリだなんて、よく考えたら引き受けるんじゃなかったよー!」
◯恋が頭を抱えると、ひまりはラーメンの丼に直接口をつけてスープをすすりながら爆弾発言をした。
ひまり「それなら代わって欲しいわ。」
恋「え?」
ひまり「だって、あたしも星先生のこと好きだったもん。」
恋「し、知らなかった!」
◯ひまりは冷や汗をかく恋を軽く睨んだ。
ひまり「あんたが年がら年中星先生のことでスキスキ騒ぐから、言えなかったけどね!」
恋「…なんかゴメン。」
◯シュンとうなだれた恋に、ひまりが吹き出した。
ひまり「ウソウソ、冗談だよ!
でも、あの星先生が女性アレルギーだったなんて意外だな〜。」
恋「そうなんだよね。仕事だと割り切れるけど、対個人になるとダメなんだって。」
ひまり「ふーん。しっかし、不思議だね。」
◯ひまりはデザートのソフトクリームを舐めながら首を傾げた。
ひまり「なんで今になって急に先生はリハビリする気になったんだろう?」
恋「さ、さぁ。」
ひまり「理由がありそうだよね。」
恋「うーん…だね。」
◯歯切れの悪い返事をする恋
【恋モノローグ】
ひまりには言えないけど、実は私はその理由を知っている。
私は事務室での星先生との会話を思い出した。
♢
(回想始まり~)
恋「な、何ですか、突然⁉
恋愛リハビリってなんで?」
◯恋が泡を吹きながら聞き返すと、対照的に星先生は冷静な口調で答えた。
星「私は女性アレルギーを克服したいんです。
仕事以外でも女性に接する機会はあるし、好きな人ができても何もできない。
アレルギーが出ない程度のお付き合いにすると、コミュニケーション不足になる。
それが人によっては冷たい人間に見えるみたいでいつも困っているんです。」
恋(あ、ソルト先生が塩対応って…そういうことか。)
◯恋は事務員さんたちが囁いていたあだ名を思い出した。
恋(目に見えない障害が他人には理解してもらえないのは、やっぱりツライよね。)
◯星先生は少し鼻息を荒くして恋にプレゼンを続けた。
星「調べたんです。
アレルギーへの対処はアレルゲンに何回も触れて慣れることでしょ。
だから一日一回、葉奈乃さんと触れ合うことで治療・もしくは最小限にできるんじゃないかと考えました。」
恋「触れ合う?」
星「いやらしい意味ではないです。
例えばこうして一緒にお話したりするだけでも構いません。
私の女性に対する機能を評価し一緒に目標を立ててもらえたら助かります。」
恋(小難しい事言ってるけど、毎日私と会うことで女性アレルギーを克服したいということだよね?
星先生はすごくマジメな人なんだな。)
星「もし、引き受けてくれたら今回の事故で葉奈乃さんの保険は使わなくてもいいですよ。」
恋「え、それは。」
星「おまけに私が担当している運動器疾患理学療法学の授業は休んでも出席扱いにしてあげます。」
◯恋はゴクリと生唾を飲んだ。
恋「そんな夢みたいな話ありますか?
先生、私を騙そうとしてません?」
星「私はここの大学の会長の甥っ子なんです。
ある程度の融通は利かせられると思います。」
【恋モノローグ】
正直、先生のアレルギーを治せるかは自信がない。
でも私の目的は理学療法士になることで、最終的目標は楽しい女子大生ライフ。
最短で国家試験に受かるならそれに越したことはないのでは…⁉
恋「やります!」
◯妄想だけで恋は笑顔とよだれがこぼれてしまう。
恋「でも、何でそこまでするんですか?」
◯恋はよだれを誤魔化すために質問した。
すると先生は一瞬戸惑ったものの、恥じらいながら答えた。
星「実はその…好きな女性が出来たんですが、このアレルギーのせいであまり上手く想いが伝えられなくて。」
恋「ああ…。」
【恋モノローグ】
先生、好きな人が居るんだ。
私にもワンチャンあるかもなんて、期待しちゃダメだった。
恋(やっぱり私はツイてない女なんだな。)
【恋モノローグ】
だけどこういう時はネガティブな気持ちを変換することが大事。
ピンチはチャンスだと思おう。
そして、過去の黒歴史を見事に昇華させることができたら、私も前に進むことができる気がする!
◯恋は萎えそうな心を奮い立たせて、先生の恋愛を応援することにした。
恋「私に任せてください!
アレルギーも恋愛もどっちも完治させてみせます!」
◯星先生はくしゃりと笑った。
星「頼むよ、葉奈乃先生。」
【恋モノローグ】
やっぱり目が合うたびに胸がドキドキして切ない。
私、星先生のことがまだ好きみたい…。
(~回想終わり)



