それから、数日後。
家の前で手持ち花火をする。
しゃがんで、2人で肩を並べる。
「葉月、」
「だから修人って呼んで」
「修人」
「うん?」
「誕生日、」
「やっぱり修人くんの方がいいか」
「もう!」
修人が、優しい顔で笑う。すごく愛おしいものを見るような目で私を見る。
あの日から、今日でちょうど10年。
もう二度と会えないんだと思ってお別れしたあの日から、10年が経った。
今日は、葉月の26歳の誕生日。
2人で並んで、花火に火をつける。
火花が丸く飛び散って、夜の闇を明るく照らす。
「誕生日、おめでとう。」
葉月が私を見る。
「もっかい言って。」
「誕生日、おめでと」
言い終わらないうちに、葉月が私にキスをした。
顔が離れて、葉月が「ありがと。」って言う。



