そんな顔をする葉月を見るのは初めてだった。
いつも余裕そうに笑っていた葉月が、必死になって何かを伝える姿を見るのは、これが初めてだった。
びっくりして、言葉が出ない。
葉月が、パッて掴んでた手を離す。
「あ、ごめん」
私も、葉月に会いたかった。
「ごめん、つい、勢いで言って。」
葉月が地面に視線を落とす。
「ごめん、惑わせるつもりはない。俺が、伝えたかっただけだから。」
じゃあ、って葉月が来た道を引き返そうとする。
待って、
「待って……。」
葉月の腕を掴む。
「行かないで」
涙が出る。
あぁもうなんで、葉月のことになると、すぐ泣いちゃうんだろう。



