【葉月side】 「榎本……?」 「知ってる人?」 「あぁ、うん。」 榎本がカァ、って顔を赤くして、店を出て行こうとする。 「あ、ごめん、ちょっと。」 財布から三千円出して机に置く。 「ごめん。」 椅子から立ち上がる。 「あの子がいたからか。」 「え?」 「葉月くん、ずっと上の空なんだもん。」ユウコちゃんが俺を見る。「わかりやすい。私に興味ないの」 「ごめん」 「もうお釣り返しに行かないからぁ〜」 ってぶぅ、って顔して、三千円財布にしまった。