【花side】
「別れたぁ!?」
会社の飲み会。
タクヤが目をまん丸にする。
「なんで?」
タクヤが、アイコスの煙をふうって吐く。
煙たくて、思わず手で煙を振り払う。
「好きな人ができたから……。」
「”好きな人”って……お前なぁ。なんかその言葉久しぶりに聞いたわ。」
きゅうりの塩昆布漬けをぽりぽり食べる。
「その人は彼女いないの?」
ぽりぽり。きゅうり、うまっ。
「……わかんない。」
「はぁ?」
タクヤが机に肘をつく。
「まぁさ〜花は素直すぎるんだよね〜」
私の隣にいたアヤちゃんが私たちの卓にジョッキをゴン!って置く。
「おぉ、聞いてた?」
タクヤが目の据わっているアヤちゃんを見て、ふ、って笑う。
「聞いてた聞いてた、丸聞こえ!花のいいところは、嘘がつけないとこと一度決めたら迷わないところ!あんたのそういうとこ私は好き!」
「そうそう。そこで、その好きな人と付き合えるまで、今の彼氏をキープ!ってならないとこが、アヤと違うとこだよね」
タクヤが適当に言う。アヤが、ガハハって笑って、耳に手を当てる。「あれ?今の悪口?」
「うん、悪口悪口。酔っ払いはあっちいってろ」
タクヤが、しっしって手で振り払う仕草をする。
「あんただってさぁ、この前言ってた女の子とは結局ちゃんと切れたのか……っ」
タクヤがアヤちゃんが話してる途中でその口にきゅうりを2,3切れ突っ込む。アヤちゃんが静かになってきゅうりをもぐもぐする。
その光景を見て思わず笑ってしまう。



