【葉月side】
榎本がずっと手にぶら下げているビニール袋。
「それ食べないの?」
ビニール袋の中に入っているのは、焼きそば。
「あ、えっとこれは持って帰る。」
持って帰る?屋台の焼きそばを?
それから、あ、そうかと気づく。「お土産?」
うん。って頷く榎本。「美味しかったから……。」
袋の中には割り箸が2本。
頬が綻ぶ。
「彼氏?」
焼きそばなんて、誰が作っても同じ味でしょ。
なのにそれを持って帰って食べさせてあげたいって思う榎本が、可愛いかった。
榎本の大きい目が、一瞬さらに大きくなる。
彼女と2人で花火見ちゃった。ごめんね。榎本の彼氏さん。
榎本の彼氏、どんな人なんだろうって、ちょっと思った。



