「葉月は誰と来たの?」
「大学んときの友達。男10人。全員男。むさくるしいよ。」
「葉月いなくて寂しがってんじゃない?」
「ないない」葉月がケラケラ笑う。「絶対ないわ」
「もう始まる前からめっちゃ酔ってたもん。多分俺がいないことにも気づいてないんzyzない?俺が連絡しなかったら多分そのままあいつら帰るよ。」
葉月が吐き捨てるように言うから、笑ってしまう。
「ごめん、榎本の友達は心配してるかな。」
「大丈夫、もう大人だから」
葉月が、私をちらっと見て、納得したようなしてないような顔して、うんって頷く。
「榎本はいつから東京にいるん?」
「大学からだよ。」
葉月が一瞬目を伏せて、「そっかあ。」って言う。
9年。
あの時から9年。
この9年間、いろんなことがあって、私も変わって、葉月も変わって。
「榎本が25歳かあ〜。大人なったなぁ〜。」
「葉月も一緒じゃん。笑」
「うん」
葉月が笑う。
今私たちの間に流れている空気は、あの時のままだった。
まるで、あの日の続きみたいに、私たちは花火を見つめていた。



