「…ほら、泣くなって」


そう言いながらクラスメイトは、可愛いクマのハンカチを渡してくれる。


不良っぽいのにそういうのちゃんと持ち歩くんだ、と感心して、「ごめんっ…」と言いながらハンカチを受け取る。



「…クマ、可愛いっ…」


「あぁ!?うっせえ、別にそれ好きじゃねえし!!」

「…わたクマ、私も好きっ…」


好きなキャラクターが同じで、少し嬉しく思う。


嗚咽は中々止まらないけど、会話を試みようとゆっくりと話す。


「…ごめんな」


急に、クラスメイトに謝られる。


「…え、なんで…?」


「…俺、なんとなくお前がいじめられてるのに気づいてたから…。でも証拠も無いし、中々確信持てなくて、動けなかった」


私の目を真っ直ぐに見て、そう言ってくれるクラスメイト。


「だから…本当、ごめんな」



「…ふふ、いいよ」


ニコッと笑う。


本心から笑顔を浮かべたのって、いつぶりだっけ。


「私、もう辛くないんだ。生きたいって思えたから。」


それも全部、きみのおかげ。


あのまま落ちていたら、きっと〝生きたい〟と気付く前に終わっていた筈だ。


「だから、ありがとう」


ふわっと笑う。


「…おう」


きみも笑って、二人で笑う。