翌朝——
ガラーン
ガラーン
ガラーン
大きな鐘の音が廊下から聞こえ、部屋に向かって近づいてくる。
「え!? な、何!?」
今迄一度も聞いたことがない音に、驚いたサフィニアは一瞬で目が覚めて飛び起きた。
「怖いよぉ……」
何が起こっているのか分からずに、クマのぬいぐるみを抱えてガタガタ震えていると、やがて音は遠ざかって行く。
「今の音……何だったんだろう?」
眼はすっかり覚めていた。そこでサフィニアは重たい身体でベッドから起き上がると、大きすぎるメイド服に着替えた。
エプロンをつけたものの、後ろで紐を結ぶことが出来ない。
「どうしよう……」
困っていると、クララの顔が思い浮かんだ。
「エプロンの紐、結んでもらおうっと」
そこでサフィニアは部屋を出ると、既に着替えが終わったメイド達がぞろぞろと廊下を歩いている。
「皆、何処に行くのかなぁ……?」
不思議に思ったサフィニアは一番後ろをついて行くことにした。そのメイド達は10歳前後の少女達で4人組だった。
俯き加減に歩いていると、ひそひそと話す声が聞こえてきた。
「ちょっと……何? あの子」
「もしかして物乞いじゃないの?」
「何処から入って来たのかしら?」
「でもメイド服を着ているわよね」
自分のことを話していると気づいたサフィニアは顔を上げた。すると前方を歩いていたメイド達が時折チラチラと視線を向けているが、その視線は何処か冷たいものだった。
すると一番年上と思しき、三つ編みをしたメイドがサフィニアを振り返り、訊ねてきた。
「ちょっと、そこのおチビさん。一体私達に何の用なのかしら?」
迷惑そうな素振りを隠すことも無く、メイドはジロリとサフィニアを見る。メイドの名前はドリュー。
この仲間内では一番年上と言うこともあり、常に威張っていた。
「え、えぇと……皆、何処に行くのかなと思って……私、昨日からここへ来たばかりだから……」
オドオドしながら答えるサフィニア。
すると別のメイドが「あ!」と声を上げた。
「そう言えば昨夜、サナが言ってたわ。昨日入ってきたばかりのメイドが、セザール様とずっと一緒に仕事をしていたって。それって、あんたのことでしょう?」
そして険しい顔で指をさす。
「う、うん……セザールと仕事してたけど……」
サフィニアが頷くと、途端にメイド達が騒ぎ始めた。
「聞いた!? 呼び捨てにしたわよ!」
「こんなチビが呼び捨てにするなんて!」
「新人のくせに……本当に生意気ね。そうだわ……いいことを思いついた。こっちへ来なさい!」
突然ドリューはサフィニアの右腕を掴んだ。
「い、痛い! 放して!」
相手はサフィニアよりも年上の少女。まだ6歳のサフィニアが到底かなうはずない。
「ねぇ、このチビどうするつもりなの?」
赤い髪のメイドがサフィニアをジロリとみる。他のメイド達もクスクス意地悪な笑い顔でサフィニアを見つめている。
「そうねぇ……仕事をしてもらおうかしら? 出来るわよねぇ? メイドなんだから?」
ドリューは意地悪な笑みを浮かべてサフィニアに尋ねる。
「う、うん……」
逆らっても適うはず無いと思ったサフィニアはガタガタ震えながら頷いた。
「だったら行くわよ! 来なさい!」
「痛いっ!」
グイッと乱暴に腕を引かれながら、サフィニアは4人のメイド達に連れ去られて行った——
ガラーン
ガラーン
ガラーン
大きな鐘の音が廊下から聞こえ、部屋に向かって近づいてくる。
「え!? な、何!?」
今迄一度も聞いたことがない音に、驚いたサフィニアは一瞬で目が覚めて飛び起きた。
「怖いよぉ……」
何が起こっているのか分からずに、クマのぬいぐるみを抱えてガタガタ震えていると、やがて音は遠ざかって行く。
「今の音……何だったんだろう?」
眼はすっかり覚めていた。そこでサフィニアは重たい身体でベッドから起き上がると、大きすぎるメイド服に着替えた。
エプロンをつけたものの、後ろで紐を結ぶことが出来ない。
「どうしよう……」
困っていると、クララの顔が思い浮かんだ。
「エプロンの紐、結んでもらおうっと」
そこでサフィニアは部屋を出ると、既に着替えが終わったメイド達がぞろぞろと廊下を歩いている。
「皆、何処に行くのかなぁ……?」
不思議に思ったサフィニアは一番後ろをついて行くことにした。そのメイド達は10歳前後の少女達で4人組だった。
俯き加減に歩いていると、ひそひそと話す声が聞こえてきた。
「ちょっと……何? あの子」
「もしかして物乞いじゃないの?」
「何処から入って来たのかしら?」
「でもメイド服を着ているわよね」
自分のことを話していると気づいたサフィニアは顔を上げた。すると前方を歩いていたメイド達が時折チラチラと視線を向けているが、その視線は何処か冷たいものだった。
すると一番年上と思しき、三つ編みをしたメイドがサフィニアを振り返り、訊ねてきた。
「ちょっと、そこのおチビさん。一体私達に何の用なのかしら?」
迷惑そうな素振りを隠すことも無く、メイドはジロリとサフィニアを見る。メイドの名前はドリュー。
この仲間内では一番年上と言うこともあり、常に威張っていた。
「え、えぇと……皆、何処に行くのかなと思って……私、昨日からここへ来たばかりだから……」
オドオドしながら答えるサフィニア。
すると別のメイドが「あ!」と声を上げた。
「そう言えば昨夜、サナが言ってたわ。昨日入ってきたばかりのメイドが、セザール様とずっと一緒に仕事をしていたって。それって、あんたのことでしょう?」
そして険しい顔で指をさす。
「う、うん……セザールと仕事してたけど……」
サフィニアが頷くと、途端にメイド達が騒ぎ始めた。
「聞いた!? 呼び捨てにしたわよ!」
「こんなチビが呼び捨てにするなんて!」
「新人のくせに……本当に生意気ね。そうだわ……いいことを思いついた。こっちへ来なさい!」
突然ドリューはサフィニアの右腕を掴んだ。
「い、痛い! 放して!」
相手はサフィニアよりも年上の少女。まだ6歳のサフィニアが到底かなうはずない。
「ねぇ、このチビどうするつもりなの?」
赤い髪のメイドがサフィニアをジロリとみる。他のメイド達もクスクス意地悪な笑い顔でサフィニアを見つめている。
「そうねぇ……仕事をしてもらおうかしら? 出来るわよねぇ? メイドなんだから?」
ドリューは意地悪な笑みを浮かべてサフィニアに尋ねる。
「う、うん……」
逆らっても適うはず無いと思ったサフィニアはガタガタ震えながら頷いた。
「だったら行くわよ! 来なさい!」
「痛いっ!」
グイッと乱暴に腕を引かれながら、サフィニアは4人のメイド達に連れ去られて行った——



