セザールがサフィニアを連れて303号室に戻ってくると、部屋の前にはクララの姿があった。
「まぁ! サフィニア! 何処へ行っていたのかと思ったら、セザールと一緒だったのね? 夕食の時にも姿が見えなかったから心配していたのよ?」
クララはサフィニアに駆け寄ると、セザールが謝った。
「申し訳ございません、クララさん。僕が今迄サフィニアを連れだしていました」
「あら、そうだったのね? でもセザールはポルトス様からサフィニアの世話係を命じられたのよね? だったら謝らなくたっていいのよ。でも良かったわ、見つかって」
クララは胸を撫でおろし、サフィニアの頭を撫でる。
「それでクララさんにお伝えしたいことがあるのですが、これから昼食と夕食時、サフィニアは僕と食事をすることになりました。なので、朝食時だけサフィニアをお願い出来ますか?」
セザールの話にクララは頷いた。
「ええ、分かったわ。そうよね、これからはセザールと一緒に仕事をするのだから昼も夜も一緒に食事をするのは当然よね? でも貴方がサフィニアのお世話係になってくれて助かったわ。見ての通り私は寮長だから忙しくて。しかもメイド長が突然解雇されてしまって、今はバタバタしているし……あ、ごめんなさい。貴方を引き留めてしまったわね」
「いいえ。大丈夫です、クララさん。サフィニアのこと、よろしくお願いします」
改めセザールは頭を下げると、次にサフィニアを見おろした。
「それじゃ、サフィニア。また明日ね、9時になったら部屋に迎えに来るから」
「うん、またね」
サフィニアはセザールに手を振る。その様子を見てクララは笑顔になる。
「あら、もう2人はすっかり仲良くなったのね。まるで兄妹みたいだわ」
「うん、セザールはお兄ちゃんみたいな人だよ」
その言葉に、セザールは顔を赤らめながら言った。
「そ、それじゃまた。おやすみ、サフィニア」
セザールが足早に去ると、クララが話しかけてきた。
「サフィニア、部屋に入りましょう」
「うん」
2人で303号室に入ると、部屋は真っ暗だった。クララはポケットからマッチを出すと、室内のアルコールランプに火を点ける。
途端に、室内はオレンジ色の光に灯された。
「サフィニア、マッチを擦ったことはあるかしら?」
クララが尋ねる。
「うん、ある」
「そう? それじゃ、アルコールランプに火を灯したことは?」
「それもあるよ」
「まぁ、まだ6歳なのにサフィニアは偉いのね?」
感心するクララ。けれど、これはサフィニアにとっては当然のことだった。
身体の弱いローズの為に、サフィニアは色々なことを1人で出来るようにならざるを得なかったのだ。
「それじゃ、このマッチはサフィニアに渡しておくわね。無くなる前に私か、セザールに言うのよ。分かった?」
「うん」
マッチを受け取り、頷くサフィニア。
「サイズが大きいと思うけど、寝間着と下着を用意しておいたわ。私の方で何とかしておくから、少しの間我慢して頂戴。それでシャワーだけど、下級使用人は部屋番号で使える曜日が決まっているのよ。でも運が良かったわね。今日は使える日なのよ。着替えを持って、ついてらっしゃい」
「うん」
サフィニアは机の上に置いてあった寝間着と下着を持つと、クララの後について行った——
「まぁ! サフィニア! 何処へ行っていたのかと思ったら、セザールと一緒だったのね? 夕食の時にも姿が見えなかったから心配していたのよ?」
クララはサフィニアに駆け寄ると、セザールが謝った。
「申し訳ございません、クララさん。僕が今迄サフィニアを連れだしていました」
「あら、そうだったのね? でもセザールはポルトス様からサフィニアの世話係を命じられたのよね? だったら謝らなくたっていいのよ。でも良かったわ、見つかって」
クララは胸を撫でおろし、サフィニアの頭を撫でる。
「それでクララさんにお伝えしたいことがあるのですが、これから昼食と夕食時、サフィニアは僕と食事をすることになりました。なので、朝食時だけサフィニアをお願い出来ますか?」
セザールの話にクララは頷いた。
「ええ、分かったわ。そうよね、これからはセザールと一緒に仕事をするのだから昼も夜も一緒に食事をするのは当然よね? でも貴方がサフィニアのお世話係になってくれて助かったわ。見ての通り私は寮長だから忙しくて。しかもメイド長が突然解雇されてしまって、今はバタバタしているし……あ、ごめんなさい。貴方を引き留めてしまったわね」
「いいえ。大丈夫です、クララさん。サフィニアのこと、よろしくお願いします」
改めセザールは頭を下げると、次にサフィニアを見おろした。
「それじゃ、サフィニア。また明日ね、9時になったら部屋に迎えに来るから」
「うん、またね」
サフィニアはセザールに手を振る。その様子を見てクララは笑顔になる。
「あら、もう2人はすっかり仲良くなったのね。まるで兄妹みたいだわ」
「うん、セザールはお兄ちゃんみたいな人だよ」
その言葉に、セザールは顔を赤らめながら言った。
「そ、それじゃまた。おやすみ、サフィニア」
セザールが足早に去ると、クララが話しかけてきた。
「サフィニア、部屋に入りましょう」
「うん」
2人で303号室に入ると、部屋は真っ暗だった。クララはポケットからマッチを出すと、室内のアルコールランプに火を点ける。
途端に、室内はオレンジ色の光に灯された。
「サフィニア、マッチを擦ったことはあるかしら?」
クララが尋ねる。
「うん、ある」
「そう? それじゃ、アルコールランプに火を灯したことは?」
「それもあるよ」
「まぁ、まだ6歳なのにサフィニアは偉いのね?」
感心するクララ。けれど、これはサフィニアにとっては当然のことだった。
身体の弱いローズの為に、サフィニアは色々なことを1人で出来るようにならざるを得なかったのだ。
「それじゃ、このマッチはサフィニアに渡しておくわね。無くなる前に私か、セザールに言うのよ。分かった?」
「うん」
マッチを受け取り、頷くサフィニア。
「サイズが大きいと思うけど、寝間着と下着を用意しておいたわ。私の方で何とかしておくから、少しの間我慢して頂戴。それでシャワーだけど、下級使用人は部屋番号で使える曜日が決まっているのよ。でも運が良かったわね。今日は使える日なのよ。着替えを持って、ついてらっしゃい」
「うん」
サフィニアは机の上に置いてあった寝間着と下着を持つと、クララの後について行った——



