お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

「……じゃあ、約束しませんか?」

ぽつりと紗良が言った。

「約束?」

橘が首を傾げる。どこか真面目な響きに、警護関連の何かかと思ったのか、思わず身構えたような顔をしている。

「そんなに難しいことじゃないです。……えっと、」
紗良は一呼吸置いて、顔を少し赤らめながらも、しっかりと橘を見た。
「橘さんが、私のこと……ちゃんと守ってくれるって、信じたいんです」

そして、そっと右手の小指を出す。

「だから、指切りしましょ。子どもみたいって思うかもしれませんけど」

橘は、一瞬言葉を失い、固まった。

「……い、いや……」

「あ、やっぱり子どもっぽかったですか?」

「ち、違います」
彼は慌てて言いかけ、口ごもり、そして咳払いを一つ。

「ちょっと……その、突然すぎて。私、こういうの慣れてないので」

そう言いながらも、どこか目を逸らしつつ、橘は不器用に小指を出す。
その指が紗良の指と重なった瞬間、彼の耳が、わずかに赤く染まった。

「……じゃあ、改めて。指切りげんまん、嘘ついたら――」

「針千本飲ーます」

紗良が笑いながらそう続けると、橘もつられて笑い、そっと紗良の小指に力を込めた。

「……絶対、守ります。だから、信じてください」

そう言う声は、小さくても、まっすぐで誠実だった。