お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

紗良は、目の前で深く頭を下げる二人の姿に、胸の奥がぎゅっと締めつけられるのを感じた。
気づけば、ぽろぽろと涙がこぼれ始めていた。
自分の意志とは無関係に。

「どうして……そんなこと言うんですか……全部、私が……悪いのに……そんなふうにされたら……罪悪感で……押し潰されそうです……」

苦し紛れに絞り出すように言葉を紡ぐ紗良の声は、時折嗚咽に変わり、途切れがちだった。
震える肩を見つめながら、橘と旗野は静かに目を合わせる。
数秒後、旗野は無言でそっと部屋を後にした。

部屋に残った橘は、そっと手を伸ばし、サイドテーブルから未使用の白いフェイスタオルを取り上げ、紗良に差し出す。

「どうぞ」

紗良はそれを受け取ると、顔を覆い、タオルに涙と息を押し込めるようにして、何度も無理やり深呼吸をした。
落ち着こう、取り繕おうとする気持ちが、却って苦しさを増していく。

そんな紗良の背中に、橘の温かく、しかし節度を保った手がそっと添えられた。

「ゆっくりでいいですよ」

それは、命令でも慰めでもなく、ただ寄り添う言葉だった。
その穏やかな声に、紗良の呼吸が少しずつ整いはじめる。

重たく、冷たく凍りついていた心の奥に、ようやくほんの少し、温もりが染み込んでいくのを感じた。