お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

病室に戻ると、タイミングよく夕食が運ばれてきた。
看護師が「こちらに置きますね」と告げて、ベッド脇ではなく、壁際のデスクの上にトレーを置いてくれた。
どこかパソコン作業に向いていそうな広めの机。座って食べるにはちょうどいい高さで、紗良はその前の椅子に腰を下ろした。

点滴と薬が効いてきたのか、身体はずいぶんと軽くなっていた。呼吸も、午前中のあの胸の締めつけを思えば、今はずっと楽だ。
ゆっくりとトレーのふたを開けて、温かい湯気を感じながら箸を手に取る。
見た目は普通の病院食だったけれど、胃に何か入れたい気分にはなっていた。

黙々とご飯に手をつけながら、ふと目の前の壁に目をやると、そこには小さな壁掛けのテレビがあった。
リモコンを取って、何の気なしに電源を入れる。

映し出されたのは、まさに今自分が入院している病院の外観だった。
現場レポーターが、緊張した表情でマイクを握っている。
「……今日午後1時すぎ、一ノ瀬財務大臣の長女が男に襲われる事件が起きました。犯人の男は刃物を持っており、警備員らの迅速な対応によって逮捕されました……」
カメラは現場の写真を交えて、病院の駐車場や通用口の様子を映し出す。