お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

橘の手が、紗良の手首に温かく触れる。
その感触が、少しずつ心の中で震えていた不安を溶かしていく。

紗良は橘の顔を見上げ、目が合うと、彼は静かに微笑んだ。その微笑みが、あたたかさと安心感を一気に届けてくれる。

「もう大丈夫です。」

その言葉が、まるで彼の腕の中で自分が守られているような感覚を与えてくれる。

「お怪我はありませんか?」

橘が静かに尋ねる。
紗良はしばらくその言葉に反応できなかったが、ようやく小さくうなずいた。
その瞬間、緊張が少しずつ解けていくのがわかる。
けれど、まだ体は震えが止まらない。

そこに、さきほどの看護師がやって来る。
「病室へいったん戻りましょう」と、優しく声をかけられた。
橘は看護師と目配せをし、何かを伝え合った後、紗良の靴が片方無いことに気づき、ちらりと足元を見やると、すぐに言葉をかける。
「履物がないので、私が抱き上げてお連れしますがよろしいですか?」

恥ずかしさや遠慮も感じる間もなく、紗良はただ、すっと息を呑み、小さく「はい」とつぶやいた。
その声には、まだ完全に力を取り戻していない自分の弱さが滲んでいたけれど、同時に橘の腕の中に自分が守られていることを知って、少しだけ安心することができた。