お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

パソコンの画面に目を向けているのに、集中できない。
気配が、気になる。ずっと。

背後から感じる、視線でもなく、音でもなく、ただ「そこにいる」という重圧。

まるで、呼吸のリズムすらずらされていくようだった。

ついに堪えかねて、紗良は椅子から立ち上がった。

「……あの、橘さん」

振り返ると、すぐそこにいた橘が、まっすぐこちらを見ていた。

「部屋の外にいてもらえますか。後ろにいられると、ちょっと集中できないので」

言ったあと、なんとなく気まずさが残る。

——どうせ、“それはできません”とか言うんでしょ。

そう思っていたのに、橘はあっさりと頷いた。

「わかりました」

驚くほど素直な返事だった。

「……」

紗良は何も返せず、ただ橘が静かに部屋を出ていくのを見送った。

扉が閉まり、ようやくひとりになれた……と思ったのも束の間、気配は変わらなかった。
橘はきっちりと扉のすぐ前に立っていたのだろう。音もせず、影だけがそこにあるような気配。

——そうできるなら、最初からそうしてよ……。

喉元まで出かけた言葉は、そのまま飲み込んだ。