すると、ノックの音と共に籏野の落ち着いた声が扉の外から届いた。
「看護師2名、到着しました」
橘は「どうぞ」と短く応じて扉を開け、待機していた看護師たちを室内へ招き入れる。
白衣をまとった二人の女性は、少し緊張した様子ながらも迅速に、それぞれの役割に取り掛かった。
一人は電子式の血圧計を手際よく紗良の腕に巻きつける。もう一人は非接触の体温計を取り出し、額に向けてそっと測定。
そして次に、クリップのような機械を紗良の指先に装着する。
血中酸素濃度を測る装置らしい。
その看護師は紗良の手を丁寧に受け止めるように、下から支える。
その優しい手の温度が、ほんの少しだけ冷えた指先に染み込んでくるようだった。
やがて、体温計の画面に「39.7℃」という数字がくっきりと浮かび上がる。
看護師が一瞬だけ眉をひそめたのを、紗良は見逃さなかった。
座っているのにふらつくような感覚。
体の芯がゆらゆらと揺れている。
そんな紗良の肩に、看護師の手が優しく添えられる。
「お体、つらいですよね。もうすぐ先生が来ますからね」
その穏やかな声に、紗良はかすかに目を伏せ、小さくうなずいた。
声を出す力も、表情を作る余裕も、今の彼女には残っていなかった。
そのすぐそばに、橘は変わらぬ距離で立ち、室内を静かに見守っていた。
まるで何かが起きたとき、瞬時に動けるように。
その存在が、心細さにかすかな輪郭を与えていた。
「看護師2名、到着しました」
橘は「どうぞ」と短く応じて扉を開け、待機していた看護師たちを室内へ招き入れる。
白衣をまとった二人の女性は、少し緊張した様子ながらも迅速に、それぞれの役割に取り掛かった。
一人は電子式の血圧計を手際よく紗良の腕に巻きつける。もう一人は非接触の体温計を取り出し、額に向けてそっと測定。
そして次に、クリップのような機械を紗良の指先に装着する。
血中酸素濃度を測る装置らしい。
その看護師は紗良の手を丁寧に受け止めるように、下から支える。
その優しい手の温度が、ほんの少しだけ冷えた指先に染み込んでくるようだった。
やがて、体温計の画面に「39.7℃」という数字がくっきりと浮かび上がる。
看護師が一瞬だけ眉をひそめたのを、紗良は見逃さなかった。
座っているのにふらつくような感覚。
体の芯がゆらゆらと揺れている。
そんな紗良の肩に、看護師の手が優しく添えられる。
「お体、つらいですよね。もうすぐ先生が来ますからね」
その穏やかな声に、紗良はかすかに目を伏せ、小さくうなずいた。
声を出す力も、表情を作る余裕も、今の彼女には残っていなかった。
そのすぐそばに、橘は変わらぬ距離で立ち、室内を静かに見守っていた。
まるで何かが起きたとき、瞬時に動けるように。
その存在が、心細さにかすかな輪郭を与えていた。



