お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

橘の目が一瞬だけ鋭さを帯びた。
紗良の顔色を見て、彼の中で何かが引っかかったのだろう。

「一ノ瀬さん、大丈夫ですか?」

低く落ち着いた声だった。
紗良は「大丈夫じゃない」と言ってしまおうかと一瞬だけ思った。
でも口をついて出たのは、作り笑いとともにこぼれた短い言葉。

「……大丈夫です」

橘は目を伏せ、何かをかみしめるようにほんの少し黙った後、表情を戻して一歩近づいた。

「状況を確認させてください」

静かにそう言って、橘がさらに距離を詰める。
その迫る気配に、紗良はとっさに玄関の扉を掴んだまま後ろへ下がろうとした。
けれど体は思うように動かず、バランスを崩してふらりと傾いた。

その瞬間、橘の手が伸びた。
紗良の腕を掴むその動きは、驚くほど自然で素早く、それでいて優しさを含んでいた。

ぎゅっと締めつけるわけでも、頼りなさを感じさせるわけでもない。
「守る」ということが、こういう触れ方で成り立つのかと、紗良は不思議な安心感に包まれながら思った。

少し熱を持った自分の腕に、橘の手の温度が心地よく伝わっていた。