お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

休日の朝。
珍しくアラームの音にも気づかず、遅くまで眠っていた。
けれど紗良の身体は休まるどころか、より深い疲労に包まれていた。

ゆっくりと目を開けると、天井の白さが霞んで見える。
重い……全身が鉛のように重く、起き上がるだけで息が切れた。

「……きついな、これ」

小さく声に出す。喉にひりつくような痛みが走り、すぐに咳き込んだ。
最近ニュースでよく見かける季節外れのインフルエンザ、もしかしたら――という不安が頭をよぎる。

フラフラとベッドから抜け出し、最低限の身支度を整える。
パジャマからルームウェアに着替えるだけでも、体力を削られるようだった。

キッチンに立ち、蜂蜜をスプーンでゆっくりと紅茶に溶かす。
けれど、その湯気の立つカップを前にしても、飲む気にはなれなかった。

ダイニングテーブルに突っ伏し、目を閉じる。
頭がズキズキと痛む。何か食べなければとは思うが、胃が拒否していた。

(……あ、今日ゴミの日)

思い出した途端、億劫さとともに使命感のようなものが胸に湧く。
ふらつきながらゴミ袋をまとめ、結ぶ。
今の自分にはずしりと重く感じられるその袋を持って、なんとか玄関のドアを開けた。

春の空気が一気に流れ込む。
そしてすぐに目に飛び込んできたのは、玄関前で話をしている二人の男性――

河田と、橘だった。

何か真剣に話していたのだろう。紗良が現れたことに気づいた瞬間、二人の視線がぴたりとこちらを向く。

紗良は立ったまま少しぐらつきながら、思わずゴミ袋を持った手を下げた。

その表情を見て、橘の眉が明らかに動いた。
まるで、すぐにでも駆け寄りたいと言わんばかりに。