鳥のさえずりがどこか遠くで聞こえた気がして、紗良はゆっくりと目を開けた。
カーテンの隙間から差し込む朝の光が、部屋に柔らかな白を落としていた。
――あ。
はっとして体を起こす。
思いのほか深く眠っていたことに気づき、慌てて上半身を起こすと、ふわりと目眩がした。
まだ頭が少しぼんやりとしている。
部屋の中に、誰かの気配がする。
不安が胸をよぎり、目を凝らして周囲を見渡すと――いた。
橘航太。
部屋の隅、玄関が見える位置に立ったまま、昨夜と変わらぬ姿勢でそこにいた。
スーツのジャケットのボタンだけは外れていたが、それ以外はいつも通り。
きちんと整えられた髪、緊張感のある表情、伸びた背筋。
その存在に、なぜだか胸がじんわりと温かくなる。
「おはようございます。」
いつもの低く落ち着いた声が、部屋に穏やかに響く。
紗良は、つい俯いた。
寝起きの顔を見られたことが急に恥ずかしくなり、目を合わせられず、小さな声で返す。
「…おはようございます。」
毛布をぎゅっと握りながら、紗良の心はまだどこか昨夜の震えを引きずっていたけれど、それでも橘の「いつも通り」がそこにあることが、何よりも心強く思えた。
カーテンの隙間から差し込む朝の光が、部屋に柔らかな白を落としていた。
――あ。
はっとして体を起こす。
思いのほか深く眠っていたことに気づき、慌てて上半身を起こすと、ふわりと目眩がした。
まだ頭が少しぼんやりとしている。
部屋の中に、誰かの気配がする。
不安が胸をよぎり、目を凝らして周囲を見渡すと――いた。
橘航太。
部屋の隅、玄関が見える位置に立ったまま、昨夜と変わらぬ姿勢でそこにいた。
スーツのジャケットのボタンだけは外れていたが、それ以外はいつも通り。
きちんと整えられた髪、緊張感のある表情、伸びた背筋。
その存在に、なぜだか胸がじんわりと温かくなる。
「おはようございます。」
いつもの低く落ち着いた声が、部屋に穏やかに響く。
紗良は、つい俯いた。
寝起きの顔を見られたことが急に恥ずかしくなり、目を合わせられず、小さな声で返す。
「…おはようございます。」
毛布をぎゅっと握りながら、紗良の心はまだどこか昨夜の震えを引きずっていたけれど、それでも橘の「いつも通り」がそこにあることが、何よりも心強く思えた。



