お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

橘は静かに紗良の前に立ち、冷静な声で伝えた。

「警護体制が変わりました。今夜は僕がここで付き添います。玄関前には旗野が守っていますので、外からの心配はありません。安心してください」

紗良は毛布に包まれて震える体を起こし、うつむきながらも手を少しだけ伸ばした。

「ちょっとだけ、握ってて欲しい…」
その声は震えていて、紗良の中に溢れ出す不安を抑えきれないようだった。

橘はその一瞬、言葉を詰まらせた。
予想外の頼みに戸惑い、胸が少し痛んだ。
しかし、紗良の手は冷たく、震えていた。
どれだけ彼女が恐れているのか、その痛みが伝わってくるような気がして、心が揺れた。

橘は静かに歩み寄り、紗良の伸ばした手を両手で包み込むように握った。
冷え切った手を温めるように、優しく力を込めた。

「大丈夫です。あなたを守りますから」

彼の手のひらから温かさが伝わり、紗良の震えが少しだけ収まった。
温もりを感じるたびに、少しずつ心の中で何かが溶けていくような気がした。

紗良は目を閉じ、静かな呼吸を繰り返しながら、橘の手を握りしめていた。
橘もまた、その手を離さずに、ただひたすらに彼女を守り続ける覚悟を胸に秘めていた。