お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

夕暮れが差し込む玄関前。
帰宅すると、橘がいつものように背筋を伸ばして立っていた。スーツの襟元にはいつもの金属バッジが光っている。

「お疲れ様です」
自然と紗良の口から言葉がこぼれた。

橘はほんの一瞬だけ視線を向けて、「交代です」とだけ告げると、いつも通り背を向けて玄関を守る体勢に戻る。

(変わらない…けど、少しだけ、信じられる)

そう思いながら玄関を開け、部屋に入る。
手を洗い、エプロンをつけて自炊の準備を始める。昨日の炒め物の残りに、軽く焼いた野菜と鶏むね肉を足す。湯を沸かし、スープも添えると、気づけば気持ちが静かに落ち着いていた。

(自分、心配しすぎだったな)
ふと、二週間前の怯えきっていた自分が浮かぶ。
――ちゃんと守られている。だから、もう大丈夫。

湯船にはまたお気に入りのラベンダーの入浴剤を入れた。ふわりと香る甘い香りに包まれながら、肩まで浸かって目を閉じる。

(……きっと、今夜もぐっすり眠れる)

そう信じていた