朝、テレビからはまた新たなスキャンダルの報道が流れていた。
──今度は農林水産大臣だという。
「閣僚の倫理はどこにいったのか」「説明責任を果たせるのか」
コメンテーターたちが声高に持論をぶつけ合い、画面には騒然とする国会前の映像が映し出される。
紗良は、リモコンを取り上げて、静かにテレビを消した。
(本当のことなんて、誰にもわからないんだろうな)
(信じたいものを、信じられたものを「真実」にしていくんだ)
洗面台の前に立ち、鏡に映った自分の顔を見た。
目は赤く充血し、輪郭もどこかぼんやりと膨らんでいる。
「……これ、いつまでも持つわけないよね」
小さく呟いて、首筋に手を添えて軽く回す。
ストレッチでこわばった肩の緊張が少し緩んだ。
シャワーを浴びて髪を乾かし、簡単にミルクコーヒーを淹れ、シリアルを少しだけ食べる。
昨日スーパーで買った食材を使って、卵焼きとピーマンの炒め物、ウィンナーを焼いた。
小さなお弁当箱に詰めながら、朝の手際が少しだけいつもよりもスムーズに感じられた。
温かいお茶を水筒に注ぎ、バッグに収める。
準備が整ったバッグを肩にかけ、ゆっくりと玄関の扉を開けた。
外の空気は、まだどこか冷たかったけれど、朝の光がそれを少しだけ和らげていた。
──今度は農林水産大臣だという。
「閣僚の倫理はどこにいったのか」「説明責任を果たせるのか」
コメンテーターたちが声高に持論をぶつけ合い、画面には騒然とする国会前の映像が映し出される。
紗良は、リモコンを取り上げて、静かにテレビを消した。
(本当のことなんて、誰にもわからないんだろうな)
(信じたいものを、信じられたものを「真実」にしていくんだ)
洗面台の前に立ち、鏡に映った自分の顔を見た。
目は赤く充血し、輪郭もどこかぼんやりと膨らんでいる。
「……これ、いつまでも持つわけないよね」
小さく呟いて、首筋に手を添えて軽く回す。
ストレッチでこわばった肩の緊張が少し緩んだ。
シャワーを浴びて髪を乾かし、簡単にミルクコーヒーを淹れ、シリアルを少しだけ食べる。
昨日スーパーで買った食材を使って、卵焼きとピーマンの炒め物、ウィンナーを焼いた。
小さなお弁当箱に詰めながら、朝の手際が少しだけいつもよりもスムーズに感じられた。
温かいお茶を水筒に注ぎ、バッグに収める。
準備が整ったバッグを肩にかけ、ゆっくりと玄関の扉を開けた。
外の空気は、まだどこか冷たかったけれど、朝の光がそれを少しだけ和らげていた。



