シャワーの音が止み、数分後。
バスルームのドアが開く音とともに、
涼しげなTシャツにハーフパンツ姿の航太が現れた。
その姿を見た紗良は、なぜかスイッチが入ったように背筋を正し、ソファに正座に近い座り方で待機していた。
まるで覚悟を決めた武士のような顔だ。
「……何、その顔」
航太がふっと笑いながらタオルを首にかけたまま、
ソファの隣に腰を下ろす。
その瞬間、カチッと音が鳴りそうなほど紗良の身体が固まった。
「そんなに緊張しないの」
航太は苦笑して、優しく声をかける。
「無理だよ、緊張しないなんて……!」
紗良は目を見開いたまま返した。
航太はそんな彼女の髪に手を伸ばし、
そっと耳にかける。
そして、すぐその耳たぶに――かすかに、しかし確かに唇を落とした。
ビクッ――
紗良の体が小さく震える。
「そんな怖がってたら、何もできないよ」
航太は笑いながら囁いた。
「こ、怖くはない……けど……緊張するの……!」
紗良の声は、蚊の鳴くようなものだった。
航太は少し身を乗り出して、ふぅ、とため息交じりに言った。
「俺、何ヶ月も、ずーっと紗良のそばにいてさ。触れることもできないでいたのに」
「……え」
「その間に、紗良は“手握って”とか、“そばにいて”とか、時には泣いたり笑ったり怒ったり……俺にいろんな顔、遠慮なく見せてくるじゃん。あれ、どんな気持ちでスルーしてたと思ってんの?」
「……うぅ」
「熱出した時も、怪我した時もさ。すぐ飛んで行きたいのに、ドアの前で“警護対象ですから”って顔して立ってるしかなかったの。こっちの身にもなれっての」
「……うわぁ……」
「もうさ。無理。お預けは限界。申し訳ないけど、今日はもう……ダメ」
そして――
その言葉のすぐあと。
航太はゆっくりと紗良の頬を包み込み、
深く――何度も、何度も、キスを落とした。
拒絶する間もないほどに。
言葉を挟む隙間すらないほどに。
心を撫でるような、でもどこか切実な熱が、唇を通して流れ込んでくる。
紗良はただその腕の中で、真っ赤になった顔を隠すこともできず、されるがまま――そのキスにすべてを預けていた。
バスルームのドアが開く音とともに、
涼しげなTシャツにハーフパンツ姿の航太が現れた。
その姿を見た紗良は、なぜかスイッチが入ったように背筋を正し、ソファに正座に近い座り方で待機していた。
まるで覚悟を決めた武士のような顔だ。
「……何、その顔」
航太がふっと笑いながらタオルを首にかけたまま、
ソファの隣に腰を下ろす。
その瞬間、カチッと音が鳴りそうなほど紗良の身体が固まった。
「そんなに緊張しないの」
航太は苦笑して、優しく声をかける。
「無理だよ、緊張しないなんて……!」
紗良は目を見開いたまま返した。
航太はそんな彼女の髪に手を伸ばし、
そっと耳にかける。
そして、すぐその耳たぶに――かすかに、しかし確かに唇を落とした。
ビクッ――
紗良の体が小さく震える。
「そんな怖がってたら、何もできないよ」
航太は笑いながら囁いた。
「こ、怖くはない……けど……緊張するの……!」
紗良の声は、蚊の鳴くようなものだった。
航太は少し身を乗り出して、ふぅ、とため息交じりに言った。
「俺、何ヶ月も、ずーっと紗良のそばにいてさ。触れることもできないでいたのに」
「……え」
「その間に、紗良は“手握って”とか、“そばにいて”とか、時には泣いたり笑ったり怒ったり……俺にいろんな顔、遠慮なく見せてくるじゃん。あれ、どんな気持ちでスルーしてたと思ってんの?」
「……うぅ」
「熱出した時も、怪我した時もさ。すぐ飛んで行きたいのに、ドアの前で“警護対象ですから”って顔して立ってるしかなかったの。こっちの身にもなれっての」
「……うわぁ……」
「もうさ。無理。お預けは限界。申し訳ないけど、今日はもう……ダメ」
そして――
その言葉のすぐあと。
航太はゆっくりと紗良の頬を包み込み、
深く――何度も、何度も、キスを落とした。
拒絶する間もないほどに。
言葉を挟む隙間すらないほどに。
心を撫でるような、でもどこか切実な熱が、唇を通して流れ込んでくる。
紗良はただその腕の中で、真っ赤になった顔を隠すこともできず、されるがまま――そのキスにすべてを預けていた。



