お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

そのぬくもりに包まれたまま、しばらく二人は静かに寄り添っていた。

やがて、食後のまどろむような時間が流れはじめる。

航太はソファから立ち上がりながら、首元をくいっと引っ張り汗ばんだシャツの隙間に風を入れる。

「さすがに訓練後でベタベタだわ……シャワー借りてもいい?」

「え、あ、うん。もちろん……」
紗良が返事をしながら目を瞬かせると、ふと心配になって聞いた。

「でも、着替えは? 濡れたまま出てきたら困るよ?」

「前に置いておいたやつ、まだあるでしょ? クローゼットの奥に」

「……は?」

まさかの一言に、紗良は思わず固まった。

「ちょ、ちょっと待って……私が知らないうちに、着替えセットしてたってこと……?」

「そ。バスタオルも洗面台の下に置いてあるし。ちゃんと自給自足してるから安心して」

「……それ、家主の私より準備できてるじゃん……」
呆れながらも、そんな気の回し方に少しキュンとしてしまう紗良。

航太はそんな紗良に、ふっと意味深に笑って近づいた。

「じゃ、汗流してくる。終わったら……可愛がってあげるから」

「は……?」
わずかに首を傾げた紗良は、その“可愛がる”の意味を思い出し、急に体を硬直させる。

「ま、まって、そ、それってどういう――」

「ちょっとだけ、待ってて。逃げんなよ?」

ニヤリと微笑み、まっすぐバスルームへ向かう航太。

リビングに取り残された紗良は、顔を真っ赤にしながらクッションを抱きしめ、バタバタと足を動かす。

「ちょ、ちょっと、なんなの……!? なんであんな余裕のある言い方なの……!? こっちは準備ゼロなのに……!」

しばしの沈黙と、バスルームのシャワーの音。

その間も、ソファでソワソワ、クッションに顔を埋めながら動揺が止まらない紗良だった。