お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

リビングのテーブルには、航太が買ってきたカフェ風のテイクアウト料理がきれいに並べられた。

パスタにグリルチキン、彩りのいいサラダに、小さなキッシュまで。紗良がよくSNSで「美味しそう」と言っていたようなメニューばかり。

「……本当に、こういうの好きって覚えてたんだ」
フォークを手にした紗良が、少し照れたように呟いた。

「そりゃ覚えてるだろ。前にスマホの画面で延々見てたじゃん。仕事の合間に」

「うっ……見てたかも……」

「“これ彼氏と食べたい”って、言ってたよな?」

「そ、それは……!」
紗良が言葉に詰まると、航太はグラスの水を飲みながら、いたずらっぽく笑った。

「今日は彼氏が買ってきました、ってことで、いいんじゃない?」

「……うん、すごくいい」

紗良が少しうつむきながら笑うと、二人の間にあたたかな空気が流れた。

「……あのさ」
航太がふと、声を落とした。

「こうして向かい合って、ただご飯食べてるだけなのに、なんか、すごく落ち着く」

「私も」
紗良はフォークでサラダをつつきながら、そっと答えた。

「一緒にいる時間が増えて、ちょっとずつ“日常”って感じになってくのが……嬉しい」

「じゃあ、この先も。もっと日常にしていこうか」

「……なにそれ」
そう言いつつも、紗良の目元は緩んでいた。

二人だけの小さな夜ごはん。
テレビもつけず、ただ静かにお互いの存在を感じながら、今日の出来事を少しずつ語り合う。

そんなひとときが、何よりも大切な時間になっていく——。