お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

自宅に帰りついた紗良は、まず部屋着に着替えて、髪をまとめながらバスルームへ向かった。
汗でぴったりと張りついた前髪を手でかき上げ、熱めのお湯を浴びる。

シャワーの音に包まれながら、仕事の疲れが少しずつお湯に流れていくようで、目を閉じてしばらく立ち尽くした。

——今日もよくがんばった。

そう思えるようになったのは、彼の存在が大きい。

湯上がりの湿気が残る中、リビングに戻ってスマホを確認すると、また航太からメッセージが届いていた。

《もう少しで着く》

「うわっ」と、紗良は思わず声を上げて跳ね起きた。

まだ髪は半分も乾いていない。

急いでドライヤーを手に取り、鏡の前でぶわっと風を当てる。だけど、なかなか乾かない。

ピンポーン、とチャイムが鳴ったのは、ちょうど前髪がまだ湿っているころだった。

「えっ……ちょっと待って……!」

彼氏が来るっていうのに、すっぴんで、髪、生乾き……!?

ドアの前で一瞬固まった紗良は、口をへの字にして小さく息を吐いた。

「警護されてたときの感覚、まだ抜けない……私、ほんとに恋人になったんだっけ……?」

悔しさに少しだけ眉を寄せながらも、どこかくすぐったいような気持ちを抱えたまま、意を決して玄関のドアを開けた。

そして、その先にいる彼の顔を見た瞬間、胸の奥にふわりと花が咲いたようなあたたかさが広がった。