お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

岡島の震える声を、紗良は最後まで遮らずに聞いていた。
やがて、その視線がゆっくりと優しさを帯びて、静かに口を開いた。

「……岡島さん」

その柔らかな声に、岡島が顔を上げる。
紗良はまっすぐに彼女の目を見つめた。

「私はこれまで……自分に落ち度がないのに、人から責められたり、脅されたりする経験をしてきました。だからこそ、わかるんです。そういうとき、どんなに苦しくて、孤独で、悔しい思いをするのか……」

岡島の目に、うっすらと涙が浮かぶ。

「あなたが情報を漏らしたのは、決して私を陥れようとしたからじゃない。そこにはいろんな事情があった。怖くて、どうにもできなくて……でも、後悔して苦しんできたんですよね」

紗良は、ふっと息を吐きながら、言葉を継いだ。

「世の中は“結果がすべて”って言うけれど、私はそうは思いません。――人は、苦悩や失敗を知ってこそ、強くなれるし、寛容になれると思うんです」

言葉を選びながら、ゆっくりと続けた。

「だから……あなたにも、そういう人になってほしい。人の弱さや痛みに寄り添って、支えてあげられる人に。私も……たくさんの人に支えてもらって、ようやくここまで来られたから」

紗良の目は、迷いなく岡島を見つめていた。

「これからは、あなたが誰かを支える番です。自分の過去を否定せず、乗り越えて。そうすれば、きっと――大丈夫です」

岡島は、ただ黙って頷き、こぼれる涙を袖でそっと拭った。