お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

時計の針が、ゆっくりと22時を回ったころ。

リビングのソファで寄り添っていたふたりは、言葉少なにぬくもりを感じ合っていた。

やがて、航太が静かに口を開く。

「……そろそろ帰るよ」

紗良はその言葉に、ふっと腕に力を込めるように航太を引き留めた。

「……まだいてほしいって言ったら、ダメ?」

その声は小さくて、ほんの少し、寂しさを滲ませている。

航太は少しだけ悩むように目を伏せ、それから優しく紗良の頭を撫でた。

「ダメ……じゃないけどさ。明日、朝から訓練なんだ。新しいSPチームの育成もあってね」

「そっか……。うん、わかった」

紗良は無理に笑顔を作って立ち上がり、玄関まで航太を見送る。

「靴、出しておくね」

「ありがと」

玄関で靴を履きながら、航太はふと振り返る。
紗良はドアの前で、少し不安そうな表情をしていた。

「……寂しかったら、すぐ連絡して。俺、いつでも来るから」

「ほんと? すぐ?」

「最速で、飛ぶ」

それに紗良は小さく笑って、手を差し出す。

「じゃあ、握手。今日、ありがとう」

「握手って……他にあるだろ?」

苦笑しながらも、航太はその手をしっかり握り、そして体を寄せて、そっと額にキスを落とした。

「おやすみ、紗良」

「……おやすみ、航太くん」

ドアが静かに閉まり、ふたりを隔てる。

残されたぬくもりが、ほんの少し切なくて、でも、あたたかかった。