お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

食事を終えたあとの食卓には、片付け前の食器と、湯気の立つ温かいお茶が並んでいた。

「はぁ~、おなかいっぱい……」

紗良はゆったりと息を吐きながら、ふぅと背もたれに身を預けた。

「よく食べたな。ごはん、ほとんど俺の倍くらいあったよ?」

「え……! うそ、そんなに食べてた? いやでも、航太くんの料理美味しかったから……その、つい」

「はいはい、言い訳はそこまで。よし、片付けるか」

立ち上がろうとした航太の袖を、紗良がそっとつまむ。

「……あとで、やろ?」

その小さな仕草と囁きに、航太は少し驚いたように目を見開いたあと、ふっと優しく笑った。

「わかった。じゃあ、休憩しようか」

ふたりは並んでリビングのソファへ腰を下ろす。
紗良はそっと航太の肩にもたれかかり、何も言わず目を閉じた。

「……くっつくの、好きだよな」

「ん……航太くんの匂いが、落ち着く」

「それ、警護中に言ってくれてたら、俺、耐えられなかったかもな」

くすぐったそうに笑いながらも、航太はそっと腕を回して、紗良の体を引き寄せる。

心臓の鼓動が重なる距離。
言葉がなくても、お互いの体温が優しさを語る。

「……ねえ」

「ん?」

「こうしてると、夢みたいだなって思うの。ほんとに、私、守られてたんだなって……」

「夢なんかじゃない。これからは、俺がずっとそばにいる」

その言葉に、紗良はそっと目を開けて、航太の胸元を見上げる。

「……じゃあ、ぎゅーして?」

「甘えんぼ」

苦笑しながらも、航太はもう一度、しっかりと紗良を抱きしめた。

その夜、テレビもスマホもつけないまま、ふたりはただ寄り添い、穏やかな時間を味わっていた。