お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

ダイニングのテーブルに、二人で作った料理がずらりと並ぶ。
ハンバーグ、サラダ、味噌汁に、ごはん。素朴だけれど、どこか温もりのある夕食。

「……やば、めっちゃちゃんとしてる。こんなに作ったの、久しぶりかも」

「手伝ったのは半分以下だったけどな」

「うっ……。それは言わないお約束」

ふくれっ面の紗良を見て、航太は少し笑いながら、箸を手に取った。

「じゃ、いただきます」

「いただきます!」

ふたり声を揃えたあと、まずはハンバーグを一口。

「……あ、美味しい。ふわふわだし、味付けも絶妙」

「でしょ? 実は隠し味、少しだけ味噌入れてる」

「味噌!? えっ、全然わかんなかった!」

「わかんないほうが成功なんだよ、こういうのは」

得意げな航太に、紗良は感心しながらも、ちょっとだけ意地悪そうに目を細めた。

「航太くんって、家事全般できちゃうの? 料理も掃除も洗濯も完璧で、私の立場ないなぁ……」

「ん? 甘えるのが得意なお嬢様は、それでいいの」

「うぅ……。でも、さすがにこのままだとプライドが……」

「あー、じゃあ今日の分は、頑張ったでしょ。合格。ほら」

そう言いながら、航太はお箸でちいさなハンバーグのひとかけをとって、紗良の口元に差し出す。

「え……な、なに?」

「“あーん”」

「ちょっ、急に何……」

「いらないなら俺が食べるよ?」

「あ、いるっ、いるからっ!」

慌てて口を開けてパクリと受け取る紗良。
途端に頬が赤く染まり、目をそらしてもごもごと咀嚼する。

「……おいしい?」

「……ばか」

「うん、それはお嬢様なりの“ありがとう”ってことで受け取っとく」

ちょっとしたやりとりにも、ふたりの距離の近さが滲んでいた。

そして何より、その食卓に流れる穏やかな空気が、ふたりが“ふたり”でいられる時間の、何よりのごちそうだった。