お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

公園の中ほど、木陰にあるベンチに並んで座ると、紗良は少し体を橘に寄せてきた。

「こうやって歩けるの、すごく久しぶりだよね」

「そうだな。いつもは、数歩うしろから見てるだけだった」

橘が言うと、紗良はくすっと笑う。

「じゃあ、今はちゃんと“並んでる”ってこと、感じてる?」

「……ああ。しっかりと」

彼のその短い返事に、紗良の頬がわずかに赤く染まる。

「ねえ、今日はどこまで甘えていい?」

そう聞くと、橘は少しだけ考えるような素振りをしてから、

「限度を知らない子には、お説教だな」

「えー、じゃあ手つなぐのもダメ?」

「それくらいは許可する」

からかうような言葉とは裏腹に、橘は優しく彼女の手を取った。その手のひらは大きくて、紗良の手をすっぽりと包み込んでしまう。

「……こういうの、変な感じ。まだ慣れない」

「俺もだ」

互いに少し照れくさそうにしながらも、手は離さない。

夏の空に少しずつ夕暮れの色が混ざりはじめ、蝉の声が静かにフェードアウトしていく中、ふたりの時間は穏やかに、でも確かに前に進んでいた。